#プレビュー【2022天皇杯決勝 ヴァンフォーレ甲府×サンフレッチェ広島】

はしがき

平素は大変お世話になっております。来る10/16は甲府との天皇杯勝戦

本来はリーグ戦だけレビュー書ければ十分と思っていたのですが、今年の広島はルヴァンと天皇杯の両方でファイナリストのお祭り騒ぎ。
日程に余裕もありますし、せっかくのファイナルですので、いつもはやらないプレビューを書いてみようと思います。まずは両チームの状況の整理から。

チーム状況の確認

ヴァンフォーレ甲府

9月に入ってからの対戦成績がこちら。

J2リーグ戦は泥沼の7連敗中で22チーム中18位。新潟、横浜FC、岡山という上位3チームとの対戦があったことを差し引いてもかなり苦しんでいる状況と言えるでしょう。一応残留は決まっているものの、今シーズン一時は降格の危機が騒がれた大宮と同じ勝ち点と言えばその苦境が伝わるでしょうか。

そんな中で燦然と輝くのが天皇杯で挙げた2つの勝利。福岡、鹿島だけでなく3回戦で札幌、4回戦で鳥栖と実にJ1クラブを4つも破って決勝までたどり着いています。組み合わせに恵まれてここまで来たわけではないことは明白ですね。

 

サンフレッチェ広島

9月に入ってからの対戦成績がこちら。

J1リーグ戦は上と6ポイント、下と4ポイント離れた3位。残り2試合なので3位フィニッシュの可能性は高いです。また、ご存じの通りルヴァンと天皇杯でも決勝に残っています。

リーグでは2度の大敗を喫していますがいずれも過密日程の最終戦でメンバーを大幅に入れ替えていた試合であり、その分ミッドウィークの天皇杯は勝ち残ることができています。現状のスカッドと日程を鑑みて最大限の結果を出すことに成功しているのではないでしょうか。

予想スタメン

直近の試合を見ての予想スタメンはこんな感じです。

お互いに3-4-2-1でのスタートを予想しました。甲府は9月に4-3-3で数試合戦ったものの結果が出ず、直近の岡山戦では3-4-2-1に戻しています。多分天皇杯の鹿島戦も3-4-2-1だったはず。3-4-2-1をベースに戦ってきたこともあり、こちらで来ることになるでしょう。
メンバーとしてはFW宮崎に負傷の報道があり決勝への出場が微妙とのこと。左シャドーに入ることの多い選手ですが、代わりに出てきそうなのは福岡戦で決勝点を挙げた鳥海かなーと思います。

一方の広島はいつものメンバーを予想。流動的な右WBには攻守にバランスの取れる茶島、1トップはドウグラス天皇杯準決勝で負傷交代しているのでナッシムを予想しました。
おそらく配置を変えたりといった奇襲もないでしょう。今シーズンここまで戦ってきたメンバーで正面から戦うことを選択するはず。佐々木、柏、野津田にとっては古巣対戦で、モチベーションも上がりそうですね。

展望

ハイクオリティな保持が特徴の甲府

甲府のここ数試合を見た中で、まず印象に残ったのがボール保持のクオリティ。最終ラインからのビルドアップによる前進を志向し、シャドーとWBで大外とハーフスペースを的確に使い分けた崩しが得意です。

保持時には右CBの須貝を高い位置まで上げてくるのが特徴で、両CBを上げた4-4-2みたいになります。広島としてはここを誰が捕まえるのかははっきりさせておきたいところ。
普通に考えるとミラーゲームなので左のシャドーが捕まえることになりますが、4バックにおけるSBみたいなものだと考えると左のWBが前に出ていくパターンも考えられます。甲府は4-3-3で来る可能性もあるので、その場合も考えると須貝にはWBを当てるパターンの方がややこしくなくていいかもしれません。しかしその場合更に高い位置を取ってくるWBはどうするのか?シャドーは?といった問題点も出てきます。

広島は今シーズン通して3バックで保持してくる相手に対して対応に苦しんでいるところがあり、この試合でもおそらく難しい対応を強いられるでしょう。とりあえず右CBの須貝を誰が見るのかは注目しておきたいところです。

また、保持して押し込んだ後はシャドーとWBがレーンを使い分けながら崩しに来ます。ここで特徴を出していたのが宮崎で、左サイドでハーフスペースを裏抜けしても良し、大外に開いて突破しても良しと甲府の崩しにおけるキーマンとなっていました。その宮崎が欠場となると崩しの部分で別のオプションを用意しなければいけないわけで……ここはどうしてくるか見ものです。

ちなみに、甲府は4-3-3だったとしてもそんなにやることは変わりません。中盤が荒木山田石川の3枚になるのでその数的優位を使ったビルドアップが増える感じでしょうか。須貝がはっきりと右SBにり、宮崎はWGですがタスクとしてはほとんど同じ。どちらの並びで来るかをスタメンから読むことも難しいと思います。

プレスより撤退優先、押し込んで試合を進めたい

甲府は非保持時に高い位置からプレッシャーをかけることはあまりなく、まずは自陣への撤退を優先していました。撤退時は 5-4-1で守り、奪ったら自陣から繋いで丁寧に前進を試みます。長いボールを使うのはその後、という感じですね。
相手にボールを持たれたらまず撤退して埋めるのが基本方針のチームなので、格上相手だとその時間も多くなります。天皇杯ではカウンター一発で勝ってきたような書かれ方もされていますが、単に撤退する時間が多かっただけでチームとしての方針はあまり変わっていないんじゃないかと思います。

広島にとって戦いやすいポイントは恐らくこの点になるでしょう。甲府は広島のビルドアップを阻害しに来ないと考えられるので、おそらく敵陣まではスムーズにボールを運べます。5‐4‐1を崩すのは難しいですが、ボールを失っても敵陣ですぐに取り返すことができれば敵陣に押し込み続けるという広島の得意な展開に持ち込めます。トランジションで勝って押し込み続けることで、いずれはチャンスが来るのではないでしょうか。

逆に甲府に保持されてプレスを回避されるという展開が続いた場合、決定機を何度か作られる可能性は高いです。いかに甲府が落ち着いてボールを持つ時間を削れるか、90分のうちどれだけを敵陣で過ごせるか、そのあたりがキーポイントになるでしょう。

試合に向けて

甲府のボール保持は非常にクオリティが高く、新潟や横浜FCを相手にしても見劣りしないレベルでした。一方で直近のリーグ戦ではカウンターやクロスからあっさり失点して負けている試合も多く、保持型チーム特有の脆さも感じさせます。
広島としては高い位置からのプレスや押し込んでのクロスからの崩しといった強みを出すのはもちろんですが、常にシンプルにゴールを目指すという姿勢も忘れないでほしいと思います。
甲府は難しい相手ですが、これまでにも難しい相手と闘ってきて、そこで勝ってきたからこそ今の好成績があります。これまでの道筋を信じてプレーすれば全く問題ないと思います。

それでは試合を楽しみに。