#23 【J1第25節 柏レイソル×サンフレッチェ広島】

はしがき

毎度お世話になっております。今回は柏戦。連続で劇的勝利を挙げた広島ですが、柏も直近4試合負けなしと勢いがついてきています。そんな両チームのスタメンは以下。

広島は野津田の出場停止に伴って満田がDHに起用され、シャドーに初スタメンとなるマルコスが入りました。体調不良者が複数名出ていたとかで、ベンチはベテラン多めの構成です。
柏は前節と全く同じ11人が起用されました。井原監督になってからは4-4-2を採用しているんですね。

DHを動かしてスペースを作る柏

さて、試合は両チームとも高い位置からプレッシャーをかける展開が目立ちます。広島はいつものようにWBを相手のSBにぶつける形でプレスをかけていきますが、柏はそれは織り込み済みで前進ルートを作ってきていました。

柏はDHの椎橋と高嶺、さらに1.5列目のような振る舞いをする山田康太が動き回ることで、広島のDHを定位置から動かしてきました。そうして中盤が空いたところで細谷やマテウスヴィオに縦パスを差し込み、シンプルなコンビネーションで抜け出すことを狙います。得点にはつながりませんでしたが、前半開始早々に細谷が抜け出したシーンなどはまさに狙い通りでしょう。
広島としてはハイボールを蹴っ飛ばさせる狙いのはずが低くて速いパスが飛んでくるので対応しづらかったと思いますが、ここは荒木を中心とするDF陣が良く対応していたと思います。

理に適った戦術とちぐはぐな役割

一方、広島がボールを持った際には柏のSHが広島のCBまでプレスに出ようとする場面が多く見られました。しかし、広島は個々の立ち位置をうまく調整して柏のプレスをいなすことができていたと思います。

左右のCBがボールを持った際にDHが柏のSHの近くまで降りていくことで注意を引き付け、CBへのプレッシャーをかかりにくくします。同時にシャドーがSBの前に立つことで前に出られないような状況を作ります。こうすることで広島はWBにフリーでボールを渡して前進できるようにできていました。
また、柏のSBが出てくればその裏にシャドーが走ればいいわけで、そういう場面も何度か見られました。サイドからの前進はしっかりと落とし込んでいるように感じますね。

一方で、各ポジションの役割に対する人選には違和感がありました。

この試合の広島の主な前進ルートは①WB経由のアーリークロスかシャドーの裏抜け、②DH経由の逆サイド展開、のいずれかがメインでした。となるとシャドーのタスクはハーフスペースを裏抜けしてクロスまで持っていくか、WBからのクロスに合わせるかの2つになってきます。加藤はどちらも十分にこなせると思いますが、マルコスにこのタスクを振るのは違うのでは?と感じてしまいます。
やはりライン間でボールを受けてコンビネーションに繋げるというのが得意な選手だと思うので、推進力とフィジカルの要求されるこの試合のシャドーは彼に合っていなかったような気がしますね。その後ろでDHやってた満田か川村の方が適任のように思います。もちろん相手の出方もあるので、マルコスをスタメンにしたのが間違いだったというわけではなく単に展開に合っていなかったという話なのですが。

それと、野津田の出場停止で強度とパス精度の両方を備えたDHがいなかったというのも原因かもしれませんね。ベンチにいた中では青山は強度、山崎はパス精度に不安があるというところでしょうか。東がいればDHで起用されていた可能性もありますし、ビハインドだったら途中から青山を起用していたんじゃないかな、と思います。

0-0で推移したことでスタメンの強度が落ちてきても思い切ったカードを切りづらく、結果的にフレッシュな選手を多く入れてきた柏に主導権を握られる終盤となったという側面はありそうです。スペースはあったので後半からマルコスを入れて差し合いに持ち込むということができればまた違ったかもしれません。

雑感・次節に向けて

広島は連勝ストップしたものの、保持がしっかり整備されたことで引き続きチャンスは作れています。前進手段があるのはもちろんですが、加藤とピエロスがしっかりとクロスに入っていく形ができているのも大きいのではないでしょうか。

柏も細谷とサヴィオを中心としたシンプルながらも鋭い攻撃で上位陣からもポイントを取れるチームになってきています。シンプルながらも洗練された攻撃と粘り強い守備がぶつかり合う好ゲームでした。

それではまた次回。