#15【2023J1第16節 サンフレッチェ広島×京都サンガ】

はしがき

毎度お世話になっております。今回は京都戦。ミッドウィークに試合のあった広島は中3日での試合となりました。スタメンは以下。

広島は東→柏の1枚変更。京都は1週間空いていますが4人変更してきました。リーグ戦では連敗が続いている状況であり、状況を変えに来たということかもしれません。

生命線となるWBのプレス

この試合では京都は4-1-2-3の配置をあまり崩さずにビルドアップを行ってきました。ということで、広島はいつものように前向きに守備を行っていきます。

WBの茶島と柏を京都のSBまで前に出し、1トップ2シャドーは京都のCBとアンカーを消しに行きます。前節の浦和戦では時間が経つにつれプレスがかからなくなっていった広島ですが、この試合では継続的にWBを前に出してプレスをかけ続けることができていました。

単純にCBが対人で優位をとれていたというのもあるとは思うのですが、この試合では京都のWGが内側に絞ってくることが多く、広島のCBが対応しやすい位置取りになっていたのも一因かと思います。
後方が数的不利になるリスクを背負ってWBを前に出すことで広島にとっての不安材料である中央が空洞化して運ばれる現象を防ぐことには成功していました。WBで起用された茶島が中央のスペースを埋める動きをたびたび見せていたのもポイントですね。

既にバレている広島の中盤空洞化

プレッシングは試合を通じてうまく機能していた広島ですが、それ以外の局面では中盤にスペースが空いてそこを使われる事例がたびたび起きていました。例えば83分に平戸のシュートを大迫がセーブしたシーンではサイドで東が前に出たスペースを川村がカバーし、それによってバイタルエリアをケアするのが野津田一人になったところを使われました。

これは83分のシーンを再現したわけではなくてイメージの図なんですが、広島は自陣で守る際、WBが前に出ていったスペースをDHが埋めるという守り方をしています。こうすると3CBを中央に残せるので単純なクロス攻撃には強くなるんですが、一方で最終ラインの手前が手薄になりがちで、そこを使われてシュートを打たれるケースが増えます。
サイドが釣り出されたスペースを中盤の選手が埋めるというのは4バックの守り方なのでは?と思っているのですが、広島は城福さんのころから結構ずっとこの守り方をしているんですよね。よく分からないポイントの一つです。

せっかくCBが3人もいるので、サイドが割られたらそのうち1人を出張させればいいんじゃないかなと常々思っています。こうしてもCB2人と逆サイドのWBを最終ラインに残せて、手前のスペースも消すことができます。
この守り方のデメリットはファーサイドへのクロスに弱くなることですが、マイナスへのクロスよりは合わせるのが難しいので優先度は下がるんじゃないかなと思います。

また保持でも広島の2点目のシーンなど、DHの野津田と川村が揃って相手陣の深い位置まで侵入していく場面が目立ちました。京都がかなり自陣に人を戻す意識が強かったのでそれを踏まえてのことでしょうが、ネガトラ対応を踏まえるとやや不安もあります。この試合ではリスクを背負って前に出ていく姿勢が功を奏した訳なので一概に悪いとも言えないのですが。

4-3-3とかどうでしょうという妄想

で、ここからは京都戦の話じゃなくて恐縮なんですが、今の広島を見ていると並びを4-3-3に変えてみたら面白いんじゃないかということを最近考えています。
というのも、とにかくこの広島というチームは攻守にわたって中盤の選手を動かしたいみたいなんですよね。保持時は相手のCBSB間に突撃させたいし、非保持時はWBが釣り出された後ろのスペースのカバーをさせたいと縦横無尽です。

今は3-4-2-1のDH2人がそのタスクを背負っているので中盤が空洞化しがちですが、いっそ中盤を増やしてしまえばそのリスクを減らせるのでは?という案です。例えば京都戦のスタメンならこういう感じですね。

保持時は片方のSB(この図で言うと柏)を上げてWG(森島)が絞ることで現行の3-4-2-1とほぼ同じ並びにできます。ボールサイドのIHを突撃させても中央にあと2人残せますので、ゴール前に飛び込むことも切り替えに備えて中央に残ることも柔軟に選択できます。

また、非保持でSBが釣り出された場合に中盤の選手がカバーするという守り方をしても中盤に人を残せるので、マイナスへのクロスに強くなります。柏や茶島といった選手が大外へのクロス対応をしないといけなくなるのでそこはデメリットですが。

とまあこんな具合で、配置による解決策を考えることもできますねという話でした。これは極端な例ですが、今やどのチームも広島の中盤が空洞化するという点は分析済みで、的確に狙ってきています。配置を変える必要が絶対にあるとは言いませんが、ここに対してしっかり対策を打っておかないと上位争いに参入していくのは難しいと思いますので、後半戦でどのような取り組みが行われるか注目していきたいと思います。

それではまた次回。