#13【2023J1第15節 サンフレッチェ広島×湘南ベルマーレ】

はしがき

毎度お世話になっております。1試合サボってしまいましたが、今回は湘南戦です。リーグ戦2連敗中の広島と4連敗中の湘南ということで、不振にあえぐチーム同士の一戦となりました。スタメンは以下。



広島は3-4-2-1で湘南は3-5-2、ともに前節から5人の変更となりました。お互いに不調のチームということもあるでしょうが、カップ戦があり中2日の日程なのでその要素も大きいというところでしょうか。

サイドを糸口にする広島

さて、試合は13分という早い段階で舘が一発レッドカードで退場。まあこの判定は賛否あるでしょうが、ともあれ広島が試合の大部分を1人多い状態で過ごすことになりました。1人少なくなった湘南は最終ラインを補充するのではなく、4-3-2の形で続けることを選択します。

最終ラインの4人の前に3-2の五角形を配置して広島の攻撃をサイドに誘導する形ですね。5-3-2で守る時によくみられる形です。1人少なくなりはしましたが、最終ラインを増やすより中盤を準備してきた形のままにする方が良いとの判断でしょう。
実際広島は中央を経由したビルドアップはほとんど行っておらず、サイドを経由して前進することになりました。

広島はWBにボールを入れるとシャドーがSBとCBの間に抜ける形を多用します。湘南の中盤からWBにはややプレスが届きにくく、最終ラインも4枚なのでこの裏抜けには対応しにくくなりますね。
また、シャドーが裏抜けした後のスペースにDHが入ってきたり、湘南の中盤に封鎖されていましたがDHがWBの真横でサポートに入るなどパスコースを複数作る動きもしっかり行われており、全体的に広島の保持はいつも通りの姿を取り戻せているという印象を受けました。

ただ湘南が4バックなのでシャドーの裏抜けで良く動かせていたという側面はありそうです。湘南が11人のままで5-3-2ならWBが広島のWBに対応してシャドーの裏抜けにCBがついていけば対応できるので、この守り方に対して広島がどう崩しに行くかは見てみたかったとも思います。

クロスは大外に

さて、サイドから前進した広島の攻撃の最終地点はクロスになることが多くなります。最近はたびたびクロスを中央に放り込んでは跳ね返される姿を目にしてきましたが、この試合では大外を狙ったクロスが多くなっていた印象です。

例えば38分に川村のヘッドがポストに当たったシーンですが、カットインした柏が大外で待つナッシムにクロスを送り、そのこぼれ球に川村が詰めたという形です。
やはり大外は守備側がスペースを埋める優先度が下がり、このシーンのようにフリーになれたり比較的小さい選手がカバーせざるを得ない場面が増えてきます。
このすぐ後に茶島のヘディングシュートもありましたが、大外にボールと人を送り込むことでクロスが跳ね返されづらくなり、チャンスにつながる可能性も高いのではと感じました。この試合先発だった柏は特に大外を狙ったクロスが多いように感じたので、ここは意識していたのかもしれません。

何にせよ、前進した後のクロスをシュートにつなげられる回数が多かったのはポジティブな点だと思います。

レーン交換で選択肢を増やす

後半になっても湘南が4-3-2で構えて広島がサイドから崩しにかかるという図式に変化はありませんでした。ただ、広島の方はサイドの崩しにポジションチェンジを多用するようになっていましたね。

特に多かったのが森島が左の大外に流れてWBの柏、東が内側に入っていくパターンです。この動きによって湘南は中盤の奥野や小野瀬が動かされることが多くなり、中央にできたスペースをドウグラスや松本が使うことができていました。PK獲得のシーンがまさにこの形でしたが、前半から見せていたサイドの裏抜けを絡めた前進にポジションチェンジが絡むことで、相手からするとより捕まえにくい攻撃を実現できていました。

このポジションチェンジに気を取られていると大外にクロスが飛んで行ったりするわけで、後半の保持はうまく湘南を揺さぶれていたのではないかなと思います。

雑感・次節に向けて

試合は後半に1点もぎ取った広島が3試合ぶりの勝利。1人多い時間が続いた中で1点どまりは寂しいという思いもありますが、まずはいつも通りの保持の形を取り戻して攻撃し続けられたのでそこは良かったと思います。
ここから同決定機を増やしていくかという課題はあるでしょうが、それについても今ある形を繰り返して相手を揺さぶり続けることが大事なんじゃないかなと思います。

湘南にとっては難しいゲームになりました。おそらくもともとの5‐3‐2を維持できていれば守備はかなりしっかりしたものになっていたと思うのですが、前進手段が少なそうなのは気になるかもしれません。今日のようなミドルゾーンで構える守備とハイプレスの使い分けが肝になってきそうですね。

それではまた次回。