#21 【2022J1第21節 サンフレッチェ広島×湘南ベルマーレ】

はしがき

平素は大変お世話になっております。今回は湘南戦。9連戦の7試合目ということで選手の疲労もピークに達していそうなところですね。スタメンは以下。

広島は前節からスタメンを9人入れ替えてきました。選手の疲労が~とか言っていたらめちゃめちゃターンオーバーしてきましたね。水曜日の天皇杯ではなくここでターンオーバーしてくるということは、ここからはある程度カップ戦タイトルに照準を合わせた戦いをしていくということかもしれません。この試合のスタメンで青山はクラブのJ1最多出場記録を達成。

一方の湘南は前節から3人入れ替え。前節退場の杉岡は出場停止の一方、契約でガンバ戦に出られなかった谷は戻ってきました。ベンチには町野も復帰しています。

IHの裏をどうするか

さて、3-1-4-2の配置でスタートした湘南は、広島の3バックに対して2トップ+IHの形でプレッシャーをかけてきます。

特に平岡が出てくることが多かったので、広島としてはDHをそこに立たせてWB経由して前を向く展開を作りたかったのですが、湘南は田中が素早くスライドしてきてそれを許さないという設計をしているように見えました。

また、そもそも青山はIHの裏に立たずに下がってくることが多かったので、IHの裏を活用しようという狙いはあんまり見えませんでした。時間が経つにつれてここには柴崎が降りてくるようになりましたが、裏抜けをする選手がいないためCBに捕まえられてしまいます。結果的に前半の広島は藤井までボールをつないでそこで奪われる、という展開が多発しました。
この辺のポジショニングは左DHの川村の方が適応しようとしていまして、IHの裏に入ってボールを受けようとする動きは多く見られました。浅野の裏抜けと合わせて左サイドの方がビルドアップの出口としては機能していたと思います。

ただ低い位置でボールを受けた青山が長いボールで直接状況を打開する場面は何度かあり、立ち位置が多少悪くてもパス精度で何とかしてしまえるのは流石だなーという感じでした。実際前半のプレーエリアは左右のサイドがほぼ均等。左CBの今津がボール出しに苦労していたなど要因は複数あると思いますが、構造的に難しい状況だった右サイドを青山が何とかしていたとも言えるでしょう。

アンカーを誰が捕まえる?

一方、湘南がボール保持したときは3センターvs広島の2DHで1人が浮く形になります。

特にアンカーの田中が構造上浮きやすく、広島はここをどうするかあんまり定まっていない感じでした。青山が出て行って平岡には野上が対応する形なのかな?と思いましたが、それも何か迷いながらやっているような雰囲気で、割とあっさり平岡まで繋がれてゴール前まで持っていかれるシーンもありました。
この辺は僕が広島が3バックに対しての守備が苦手だと思っている理由で、なまじ3トップとWBのところで配置が噛み合っているので、それ以外のところでのミスマッチが解消しづらいんですよね。柔軟性が低いというか。この問題はしばらく付きまといそうだなーという感じがします。

また、湘南はカウンターの際に2トップがボールをキープするのではなく、素早くサイドにはたいてIHやWBを走らせようとする場面が何度か見られました。

広島の3バック相手に潰される前に素早くサイドに展開しようという狙いで、これは広島からするといやだなーという感じでした。ボール保持時に青山はCBに近い位置にいたのでCB前のスペースは空きやすく、それも湘南には有利に働いていたと思います。

前半は湘南が広島の前進を阻みながらゴールに迫り、うまく試合を運ぶことができていました。

サントスの馬力とセットプレーの威力

後半から広島はナッシムに替えてサントスを投入。サイドの深いスペースに流して奥行きを確保する作戦です。

これはうまく効いてまして、前半閉塞感のあったビルドアップにサントスの裏抜けが加わることでサイドからうまく前進できるようになりました。特に右サイドは湘南のCBが柴崎を潰しに出てくるので、その裏のスペースは活用しやすかったと思います。
サントスはフィジカルの強さを活かしてサイドで抜け出してクロスからチャンスを作ったり、起点となってFK獲得につなげたりしていました。
後半途中に野津田を投入してからはセットプレーの威力も増し、広島がゴールに迫り続ける展開となりました。残念ながらスローインから1失点はしてしまいましたが、後半は広島のゲームだったと思います。

今シーズン何度か見られている展開ですが、背後への動きを増やすことで展開を大きく変えられるのは面白いですね。広島としてはこれをハーフタイムを待たずにやりたかったところですが、メンバーが入れ替わっていることもありなかなか難しい部分もあったでしょう。

湘南は広島のビルドアップの阻害とカウンターの設計がお見事でした。後半押し込まれてからはなかなか打開する手立てが見つかりませんでしたが、好調であることもうなずけましたね。

それではまた次回。