#22 【J1第24節 サンフレッチェ広島×川崎フロンターレ】

はしがき

毎度お世話になっております。今回は川崎戦。今シーズンは苦しい状況になっている昨シーズン2位と3位の対戦です。スタメンは以下。

広島は久々の勝利となった浦和戦から変更なし。新加入のマルコス・ジュニオールがさっそくベンチ入りしています。
川崎は橘田と前回退場した大南に代わってシミッチと高井が入っています。

広島のプレスに向き合う川崎

さて、広島は川崎の保持に対していつものようにハイプレスを仕掛けに行きます。2CB+アンカーを1トップ2シャドーで監視し、SBにはWBを前に出して対応します。それに対して川崎は長いボールを織り交ぜつつ、ポジションの移動で外そうとしていきます。

特に前半目立ったのが瀬古の移動で、2CB+アンカーによる保持に加わったり、瀬川が引いてきた裏に走ったりと野津田を剥がそうとする動きが多く見られました。
野津田を剥がすことができればビルドアップ隊が数的優位を得られるかフリーで裏抜けできるわけで、どこかからは前進することができます。特にシミッチが空いてしまった場合は一発のパスからチャンスに繋げられていました。脇坂のゴールシーンや山田のシュートシーンなどがそうですね。

サイドに追い込んだら奪い切りたい

あと広島の非保持で気になったのは自陣でサイドに追い込んだ時の振る舞いです。広島は自陣に引くときは片方のシャドーを残して5-3-2のように守っていたのですが、その状態でサイドに追い込んで奪いきれず、脱出されて逆サイドに展開されるパターンが目立ちました。

展開された時は逆サイドのWBが中盤に上がる形で埋めていることが多かったように思います。WGを放置してしまう形になりますが、そこに展開された場合はCBを大外に出し、WBをCBに入れて対応するのかなと思います。志知と中野をWBから動かさなかったのはこういう時にCBに入ってもプレーできるという点が大きいかもしれませんね。

ただまあ展開された時の準備もしているとはいえサイドに追い込んだらそこで奪い切れるのがベストなので、そこはもうちょい頑張りたかったところです。山根の同点ゴールはサイドから脱出されて生まれている訳なので。

WBの立ち位置を使い分ける広島

一方、広島が保持に回った場合はWBの立ち位置をうまく使い分けているのが印象的でした。

前節は保持時に積極的にWBを上げていましたが、今節ではそれに加えてもともとやっていたWBを下げてビルドアップの出口にするやり方にも取り組んでいました。CBがボールを持った時にWBの位置を下げてみて、相手のSBがついてきたらシャドーが裏を取り、ついてこなければWBはフリーなのでシャドーやトップに斜めのパスを打ち込む、という流れがスムーズにできていました。
もちろんWBを高い位置に上げるパターンもあるので、WBに相手の意識を引き付けておいてハーフスペースに立つシャドーにくさびを打ち込む、という攻撃もやっていました。そして、これらの攻撃時にDHを突っ込ませていないのもグッド。基本的に後方でサポートに回り、相手を押し込んでから+1として敵陣深くに入っていく形が多かったので、安易にバランスを失っていませんでした。

後半にマルコスが入ってからはさらに崩しが活性化し、54分と56分に立て続けに加藤が決定機を迎えたシーンではマルコスが間受けとSBの裏に抜ける動きの両方から決定機を作り出していましたね。空いているスペースを認知してそこに入っていく判断の速さ、狭いスペースでもプレーできる技術の高さが素晴らしい選手ですね。

保持がしっかり整備されてきたことに加え、マルコス、加藤といったシュートのうまいアタッカーが加入することで広島の攻撃力は着実に上昇していると感じた90分でした。

雑感・次節に向けて

試合はラストプレーに満田のゴールで勝ち越した広島が3-2で連勝を飾りました。保持率では下回っていながらもシュート数で相手を上回り勝つ、良い時の広島が戻ってきたなという感じです。先述した保持の取り組みのほかにも非保持で5-3-2でブロックを組んでカウンターに出ていきやすくすることもやっており、常に進化し続けていることを感じさせます。残り10試合に期待を抱かせるに十分な内容だったと思います。

一方の川崎はまさかの3連敗。前進に苦しみながらもここぞという時の一刺しは健在でしっかり2点もぎ取っており、こうなると失点が悔やまれるところでしょうか。CKをニアで弾けなかった1点目、CBが飛び出し過ぎてしまった3点目など、得点に直結するところでミスが出ているのが痛いところ。
戦力が抜かれてもそれを補うことで成長してきたチームですので、今は我慢の時なのかもしれません。

それではまた次回。

#21 【J1第23節 サンフレッチェ広島×浦和レッズ】

はしがき

毎度お世話になっております。湘南戦は飛ばしてしまいまして、今回は浦和戦となります。スタメンは以下。

広島は負傷したエゼキエウに代わり、ケガ明けの満田が先発起用となりました。浦和は左SHが早川→明本の1人変更。両チームともリーグ戦ではしばらく結果が出ていませんが、メンバー変更は少なめでした。

ロングボールを見据えた起用法

さて、この試合は開始から長いボールが目立つ展開となりました。両チームが相手のビルドアップに対して積極的にプレッシャーを仕掛けていったのが理由ですね。

浦和の保持に対して、広島は1トップ2シャドーで浦和の2CB+岩尾を監視します。さらにSBに対してはWBが出てきて対応するため、ほとんどオールコートマンツーマンのような様相を呈していました。という訳で唯一フリーになれるGKの西川はロングボールを選択することが多くなっていましたが、その時にターゲットになっていたのは主にホセカンテと酒井の2人です。

トップのホセカンテにボールを届けられれば一気にチャンスに繋がりますし、サイドの酒井はポジション的に背の高い選手とマッチアップしづらいわけで、プレスからの脱出ルートとしては合理的な選択ですね。GKから酒井に長いボールで脱出、というのは日本代表でもやってましたし。

しかしこの試合についてはホセカンテには荒木、酒井には志知とそれぞれ長身の選手がマッチアップしており、浦和が想定していたほど空中戦での優位は取れなかったと思います。特に志知の起用は明確に酒井への対応を想定してのことでしょう。ここで負けないことでプレスが空転せず、主導権を渡さないことに繋がっていたと思います。

広島のプレスは割とうまくいっていましたが、その中にあって浦和の先制点のシーンはロングボールに寄る脱出が成功したシーンでした。ここでは明本が背後への抜け出しで荒木をホセカンテから引きはがすことに成功し、そのわずかな時間でホセカンテがシュートを打つことができました。
あの位置からシュートを打たれて失点することはあまりないかもしれませんが、前線の選手の動きで荒木を釣って引いてきたトップをフリーにするというのは広島のプレス回避の一つの回答といえるかもしれません。

脱出ルートを設定していた広島

また、この日の広島はボールを持てた際にどうやってチャンスに繋げるかについてもきちんと設計されていることがうかがえました。

浦和は保持時に両SBが高めの位置を取る傾向があるので、ボールを奪ったらSBの裏をシャドーやトップが狙っていくシーンが非常に多く見られました。特に荻原の裏ですね。高い位置と言ってもCBよりもやや中盤寄りに立ってる程度なのですが、奪ってから直線的に人とボールを送り込んでいたので荻原が戻ってくる前に侵入することができていました。ナッシムの決勝ゴールもこの位置からのシュートでしたし、終始狙っていた展開だったのではないでしょうか。

広島はこれまでボールを奪ってからシュートまでが遅いという傾向があったので、奪ってからのショートカウンターに明確な形があったことは素晴らしかったと思いますね。

また、保持時の前進ルートもシンプルながらしっかりと確保されていました。「ハーフスペースにピエロスを流してキープ」と、「中盤の数的優位を活かしてフリーになった野津田」の2つですね。プレス時にマンツーマンで仕掛けていた広島に対し、浦和はCBを1人余計に残しているため中盤は数的優位を得られます。ピエロスのポストプレーと合わせて広島は浦和のプレスを回避できる場面が時々あり、浦和が先制したという展開も相まって広島がボールを持つ時間が増えていきました。

シンプルな広島の保持

ボールを持つようになった広島は普段よりもシンプルなサイド攻撃を仕掛けていきます。

CBがボールを持った際にWBを高めの位置に上げてボールを渡し、SBと単純な1vs1を仕掛けていくのが敵陣での主な振る舞いでした。普段ならWBを低い位置に下げてシャドーをサイドに流しているところですが、この日はWBがサイドの高い位置に出て1トップ2シャドーは中央でクロスに備える形が多かったですね。ピエロス、ドウグラス、加藤とストライカータイプを揃えているからこそできるシンプルな攻撃です。なおここにWBも入ってくることがあります。

逆にこれまでよくやっていたハーフスペースへの飛び出しはこの試合ではそんなに見られませんでした。DHの位置から飛び出していく動きが持ち味の川村もこの日は自重気味で、後半に得点が必要になったタイミングで解禁していったように見えました。
WBを高い位置に上げているので、その上DHも飛び出してしまうとカウンター対応がかなり厳しくなってしまいます。実際にDHを中央に残しておくことでカウンターを遅らせることができているというシーンは何度かありました。この辺りのバランス感覚はこの試合で良かったポイントだと感じましたね。

ただ、結局得点に繋がったのは加藤のハーフスペース抜け出しだったように、大外一辺倒ではなかなか得点に繋がりにくいのも事実です。得点シーンでは大外への展開を振りにして関根と荻原の内側へのケアが甘くなったところを突けましたし、44分にも満田の抜け出しからチャンスができました。WBに高い位置を取らせてシャドーがその内側を抜けていく、という動きを混ぜることでより相手は対応しづらくなるのではないかと思います。

雑感・次節に向けて

広島にとっては大きな大きな勝ち点3となりました。6試合勝利がなかった中で上位の浦和相手に内容の伴ったゲームができたことは大きな自信になるでしょう。個人的には保持時にWBを高い位置に上げてうまくいったのが嬉しかったですね。ぜひこの試合の方針でこの先の戦いを見てみたいと思います。

一方の浦和は優勝争いから後退する敗戦となってしまいました。やはり脱出ルートとして想定していたホセカンテと酒井が思ったほど優位を取れなかったのが痛かったでしょうか。広島はマンツーマンとはいえ、もう少し保持で駆け引きしたかったかもしれません。

それではまた次回。

#20 【J1第21節 サンフレッチェ広島×横浜FC】

はしがき

毎度お世話になっております。今回は横浜FC戦。両チームともにミッドウィークの天皇杯を落とし、悪い流れを断ち切りたい一戦です。スタメンは以下。

広島は体調不良だった3バックと川村が復帰。1トップはナッシムの出場停止とドウグラスのコンディション不良を受けて棚田が初先発となります。
横浜FCは敗れた川崎戦から小川→伊藤の1人のみの変更で、両チーム3-4-2-1のミラーとなりました。

後ろ重心の保持では揺さぶれない

この試合の横浜FCは5-2-3でブロックを作り、広島のビルドアップをサイドに追いやってショートカウンターを狙っていました。離脱者が戻ってきている広島はいつものようにWBや野津田が低い位置に降りてボールを保持しようとしますが、うまく前進することができませんでした。

広島のWBが下がってきたとしても、横浜FCはシャドーがスライドして対応することができます。また、野津田が下がってボールを引き出すことはボール保持の安定にはつながりますが、横浜FCの前線が作り出す五角形より先への前進という意味ではあまり効果はありません。
結果として序盤の広島はWBからシャドー、トップに縦パスを入れようとして潰されるか、ビルドアップミスを奪われてショートカウンターを浴びるという展開になっていました。

このままではダメだということで、15分頃から広島のシャドーが移動を始めます。

前半によく見られたのはシャドーが大外に開いて相手のWBを低い位置でピン止めし、ボールを受けたWBがその先に持ち上がっていくというパターンです。この形によってWBは時間とスペースを得られるので、パスの供給役として機能しやすくなります。

ですが、この形だとシャドーが大外レーンに釘付けなので、WBからパスを出す先が棚田しかないという状況になりがちでした。いつもであれば高い位置に侵入してくる川村がこの日の前半は自重気味だったのも影響していたと思います。川村が野津田と同じ高さにいること自体は横浜FCの五角形の中にパスコースを作るために必要なので問題ないと思うのですが。


そういうわけで、広島はボールを持てるようになってもその先の展開を描きづらい状態のまま前半を終えることになります。

逃げるシャドーを出口に

後半に入ると、広島のビルドアップにまた別の変化が見られるようになります。具体的にはCBとWBを高い位置まで進出させることが増えてきました。

前半にシャドーで行っていたWBのピン止めをWBで行うようになり、ボールを持ちあがるのはCBの仕事になったという格好ですね。そして、パスを出す先として横浜FCのDH横に逃げてきたシャドーが選ばれるようになっていきます。横浜FCのCBはそんなに前に出てこないので、広島のシャドーは内側レーンを降りることでCBからもDHからも逃れて前を向くことができていました。


ここを起点として加速できるようになったことで、1トップの棚田の機動力も活きるようになったのが印象的でした。

棚田は体の強さこそありませんがスペースでボールを受けてからの反転が素早く、相手を外してシュートまで持っていくことができます。時間とスペースがある状態でボールを届ければスムーズにシュートに持っていけるので、前半からビルドアップのルートが確立されていればより持ち味が生きたと思います。チームが後半のようなボールの動かし方をできるようになっていけば今後出番が増えていくかもしれませんね。


ビルドアップが安定して押し込めるようになったタイミングでピエロスと越道を投入し、保持の選択肢を広げられたのも良かったと思います。チーム全体で「ここからはハイクロスを積極的に使っていこう」という意思が共有されているように感じました。得点にこそ繋がりませんでしたが、後半の試合運びそのものは良かったと思います。

もったいない失点に見る守備の変化

さて、サッカーとは分からないもので、横浜FCは後半に一度だけ得た敵陣での保持の機会を得点に繋げました。サイドを突破されてクロスを大外の林に合わせられた形ですが、この時の守備陣形がいつもと違うかな?と感じました。

いつもならサイドにボールを展開されたときにWBと一緒にシャドーやDHが下がって対応しているかなという場面なのですが、このシーンではCBの佐々木がスライドして対応していました。

もちろんシャドーやDHが間に合ってなくてしかたなく出ていった可能性もあるのですが、このシーン以外にもCBがスライドしている場面が何回かあったので、守り方を変えているのかもしれません。前半に川村が中央に残っていたことも含めて、DHをむやみに動かさないようにしているのかもしれませんね。保持される機会が多い試合だともうすこし分かりやすいと思うので、どうなるか見てみよう案件ですね。


なお、CBをサイドに出すと失点シーンのように大外が空きやすくなるので、そこまでボールを届けさせないことが重要になります。そもそもクロスを上げさせないとか、中央で跳ね返すとかですね。CBをスライドさせるとDHは中央に残せるので、何とか中央で跳ね返したかったところです。

雑感・次節に向けて

終盤に先制点を奪った横浜FCが逃げ切るかと思われた試合でしたが、柏の頭脳プレーから同点ゴールが生まれてドロー決着。両者にとってもったいない勝ち点1と言えそうです。

広島は3-4-2-1に回帰しましたが、ビルドアップや守り方など細かい試行錯誤をいろいろやっていることが見て取れました。タイトルは厳しいシーズンになりそうですが、バランスのとれた良いサッカーに近づきつつあるような気がします。

横浜FCはリードするところまではプラン通りだっただけに、特に悔やまれる勝ち点1となりそうです。ただ前半に見せた5-2-3のミドルプレスがしっかり機能したのは収穫ではないでしょうか。現実的には残留が目標となりそうですが、非保持が多い展開で勝ち点を計算できるのは大きいと感じますね。
それではまた次回。

#19 【J1第20節 サンフレッチェ広島×鹿島アントラーズ】

はしがき

毎度お世話になっております。今回は鹿島戦。広島は目下3連敗中で立て直しを図りたいところですが、体調不良者が続出で前日練習が中止になる緊急事態。監督不在の中、勝ち点の同じ鹿島相手に連敗ストップをかけて戦うことになりました。スタメンは以下。

広島は佐々木荒木住吉の3バックが揃って不在で、さらに川村もいないという状況。さすがに前節までトライしていた4-1-4-1を続けている場合ではなく、志知松本大中野の急造3バックでこの試合に臨みます。
一方の鹿島は右サイドの広瀬と名古、トップ下の土居の3人が新たに先発となりました。

互いに苦しむプレス隊

さて試合は開始早々に鹿島がセットプレーから先制しますが、それとは関係なくしばらくの間は両チームとも前からのプレスに取り組んでいました。ただし、両チームとも高い位置でボールを奪うまでには至らないことが多かったです。

鹿島の方はトップとWGの3人を広島の3バックにぶつけ、トップ下の土居が野津田を消す形で広島のビルドアップを制限にかかります。樋口とピトゥカの2DHが中盤のスペースも消していましたが、中盤のハーフスペースやSBの裏が空いてしまうことが多く、そこから脱出される場面が目立ちました。
画像のように森島が逆サイドから出張してくることもありましたし、エゼキエウやナッシムがSBの裏に入ってボールを収めることもありました。

一方の広島も要所でプレスをかけようとしていましたが、空転する場面が目立ちます。

この日の広島は序盤の右サイドの追い込み方がやや特殊で、シャドーの森島がSBの安西に、WBの越道がインサイドの仲間について行くというプレスのかけ方をしていました。もしかすると安西が内側、仲間が外側でプレーすることもあるけどそれに惑わされないように、ということなのかもしれません。なおこの追い方は茶島の登場とともに終了し、普通に茶島が安西、中野が仲間の監視を担当するようになります。

しかしこの試合での鹿島のビルドアップの軸は中央にあり、3センターのように振舞うピトゥカ樋口土居の3人を広島の2DHで監視する必要が出てきてしまいます。広島は降りていくピトゥカを捕まえきれず、ボールを前線に運ばれるシーンをたびたび作られていました。
ちなみにここでピトゥカを捕まえきれていなかったのか、そもそもあまり捕まえる気がなかったのかは微妙なところです。この試合での東と野津田は全体的にプレスに出ていくのをやや自重しているように感じました。こうすると前線で奪えるシーンは減りますが、中央を一気に通過されるケースを減らすことはできます。DHを動かさずにプレスをかけることができればそれに越したことはないので、この辺のバランスは模索していってほしいですね。

しばらくプレスのかからない時間を過ごした両チームでしたが、1点リードしていることもあって徐々に鹿島が自陣で構える時間が増えていきます。

保持で特徴を見せた急造3バック

こうした展開の中、想定外ともいえる強みを見せたのが広島の急造3バック、特に中野と松本大弥でした。

この試合で松本が見せた特徴が、「WBに直接パスを通せること」。図のようにCBの中央から直接WBにパスを通すことで、プレスに来ようかと構えている鹿島のWGを置き去りにしてSBを釣り出すことができます。するとCBとSBの間が空くのでそこにシャドーが入り込めるわけですね。ここがフリーならここにパスを通せば良し、DHが下がって埋めるならサポートに来る東や野津田がフリーになるのでそこに出せばOKというやつです。
実際にはCBとSBの間にはいる森島をピトゥカが下がってケアすることが多く、その結果東がフリーになることが多かったですね。

また、中野の特徴は「高い位置までボールを運べること」。相手がプレスに来ないならドリブルで運び、WBやDHを高い位置まで押し上げられます。35分頃に中野がボールを持っているところに東が降りて近づいてきたシーンがあったんですが、中野に「俺が運ぶからいい」と言わんばかりに制止されていました。運べるなら自分が運んだ方がいいと分かってプレーしていることの証左ですね。

こうした最終ラインの気の利いたプレーにより、広島は後半途中まで安定したビルドアップのルートを構築できていました。前進した後に東や森島がナッシムとワンツーで中央突破しようとして防がれ続けているのは気になりましたが。

鈴木や垣田とのマッチアップに苦しみながらもなんとか決壊は防ぎ、保持で新たな可能性を示したこの日の3バックの働きは素晴らしいものだったと思います。

雑感・次節に向けて

広島が同点に追いついてからは鹿島が中央に人を集めて保持の意識を強めたことで広島のプレスハマらない問題が再燃。失点こそしませんでしたが何度か危険なかわされ方をしていました。
また保持の部分ではドウグラス投入とともにロングボールの割合を増やしてゴールに迫ろうとしますが、昌子と植田の前ではなかなかボールキープできず狙いは不発に終わりました。ここは前半からうまくいっていた保持に取り組み続けてほしかったなーと思います。

鹿島が先制しながらも後半20分くらいまでは広島優勢、その後鹿島が盛り返すも点は取れずというところで、両チームともまあ納得といえば納得の1ポイントではないでしょうか。

広島はアクシデントを力に変えたという意味では充実感のある試合だったと思います。ここ数試合停滞感のあった保持に光明が見えたのは大きいですね。プレスに関しては回避方法が確立されつつあるので、別の強みが身に付きそうなのは嬉しいところ。特に最終ラインの選手起用は今後に注目したいと思います。

それではまた次回。

#18 【J1第19節 アルビレックス新潟×サンフレッチェ広島】

はしがき

毎度お世話になっております。今回は新潟戦。広島にとっては前半戦で敗れた相手とのリベンジマッチです。スタメンは以下。

新潟は高に代わって島田、広島は柴崎に代わって茶島の1人ずつ変更となりました。新潟は4-4-2、広島は4-1-4-1と新システム同士の対戦となります(新潟は4-2-3-1ともとれますが)。

数的不利をどう解決するか

さて、試合は序盤こそ広島が押し込みますが、時間が経つにつれて新潟が広島のプレスをかわせるようになっていきます。新潟のプレス回避方法はさまざまでしたが、特徴的だったのは左サイドのポジション変更ですね。

DHの星や島田が最終ライン近くまで降りていくと、それによってできたスペースにトップの三戸が降り、空いた最前線には左SHの小見が入ってきます。で、サイドの高い位置にはSBの新井が進出してくるというやつですね。小見や新井の動きによって最終ラインの荒木や住吉は安易に出ていけなくなり、中盤で三戸を中心に数的優位を作りやすくなります。

なんか図にしてみると配置が噛み合っているようにも見えるのですが、実際には星や鈴木が近い距離でサポートするなど細かく配置を変えており、広島はマークの受け渡しを連続で迫られることでどこかに穴が空いていたという印象です。

また、シンプルにサイドからの前進を許すシーンもありました。

ドウグラスがGKの小島にプレスをかけたところでCBのトーマスに東が出ていきますが、プレスが間に合っておらずSBの藤原に通されたりDHの星を経由して回避されたりしていました。

この辺はどうプレスかけるかが整備されていない感が出てましたねー。WGがSBへのパスコースを切りながら寄せるのはプレッシングの常套手段ですが、これをやるならCBからSBへの浮き球以外コースがないように寄せる必要がありますね。SBへのパスコースを空けてもDHへのパスを通されてもダメです。

4バックの相手に対して4-1-4-1というか4-3-3でプレスをかける場合は相手のビルドアップ隊に対する数的不利との向き合い方をよく考えて、なおかつ死ぬ気で走る必要が必要がありますが、この日の広島はプレスのための戦略も運動量も足りていませんでした。

もちろん一朝一夕で仕込めるものではないでしょうが、3-4-2-1の時のようにある程度人を捕まえておいていざとなったら対人で勝てばいい、という感じで寄せていっても数的不利なのでかわされてしまいます。この形でのプレスを続けるならば相手のビルドアップルートをきっちり分析して迷いなく追い込んでいける準備をする必要がありますね。

4-1-4-1にするメリットとは

また、この試合では4-1-4-1にしたメリットを十分に享受できていないことも気になりました。プレッシングの時に前線で数的不利になるというデメリットがあるのに、それを上回るメリットが別にないやんけ!というやつです。

例えば2失点目のシーン。SBの新井から三戸にくさびが入ってそこから加速するわけですが、このシーンは山崎がもう少しCBSB間を塞ぐように立てていればここを突破されることは防げたかもしれないと思うんですよね。ただ、このシーンでは山崎からすると鈴木への縦パスも可能性があるわけで、安易に中央を空けるわけにもいきません。この中央のスペースを川村が戻ってカバーしてあげることで山崎がもう少しサイドに絞れたかなーと思うのですが、そういうメカニズムにはなっていませんでした。

4-1-4-1で中盤が3人いると、本来であればこのシーンのように1人が出ていったとしても残りの2人が2DHのように振舞ってスペースを埋めることができます。しかしこの日の広島はそういう設計になっているようには見えず、ただIHが高い位置にいて山崎がその背後を頑張って埋めているというように映りました。

これは保持の局面でも同じことが言えて、本来であれば片方のIHがハーフスペースに突撃していったとしても、もう片方のIHとアンカーでカウンターに備えることができるはずなんですよね。
ところが広島はボールと逆サイドのIHもゴールに近い位置に入っていくので、結局山崎が1人でカウンターに備えることになってしまいます。これだと3-4-2-1のDHが飛び出して行って野津田が1人でカウンターに備えているいつもの光景となんら変わらない訳で、4バックにした意味が特にありません。

ということで、前半の広島は4-1-4-1のメリットを活かせておらず、ただプレスがかかりにくいというデメリットばかりが目立つに形になってしまっていました。

雑感・次節に向けて

結局2点ビハインドで折り返した広島は4-1-4-1を諦めて3-4-2-1にシフト。プレスはハマるようになりましたが点が取れないところは相変わらずで、終盤は新潟のカウンターを凌ぐのがやっとでした。
この辺はフォーメーションとは別の問題で、高い位置でボールを奪っても攻撃に時間をかけようとしてしまうのが原因なのかもなーと思います。
ボールを一度受けてからハーフスペースに飛び出していくなど気の利いた動きを見せていた森島が負傷で交替してしまったのも痛かったですね。

プレスがかからないのはともかく、中盤の空洞化という問題が4-1-4-1にしても一切解決していないのは厳しいところ。勝ち点にはまだ余裕があるのでもう少し見てみたい気もしますが、ここの問題が解決しないのであれば4-1-4-1にする意味はあんまりないような気がします。

一方の新潟は5戦勝ちなしとは思えない会心の勝利。中央を多用するビルドアップは広島と相性がいいとはいえ、狭いスペースでも素早くパス交換できる技術は想像以上でした。思い切りプレスを仕掛けてくる上位勢とは相性がいいのかもしれませんね。

それではまた次回。

#17 【J1第18節 サンフレッチェ広島×横浜F・マリノス】

はしがき

毎度お世話になっております。今回はマリノス戦。対戦相手が一巡し、リーグ戦は後半戦突入となります。上位争いのためには3ポイントが欲しい試合ですね。スタメンは以下。

ご存じの通り広島は4バックでスタートしてきました。4バックはキャンプで取り組んでいたという話はあったものの実戦での採用は今季初めて。実態としてはプレスに出ていく機会が多く、4-3-3というより4-1-4-1という方が近かったなという印象です。
マリノスはいつもの4-2-3-1。永戸と畠中→小池と上島の2人変更です。今季のマリノスは結構メンバーを固定している印象がありますね。

4バックの狙いとプレスのハマらなさ

さて、広島の4バックについては京都戦の記事で妄想を書いたところでした。

syukan13noblog.hatenablog.com

今の広島は保持でも非保持でもDHを縦に動かすので、じゃあ4-3-3にすればいいんじゃない?という趣旨でした。
ただ、スキッベ監督のコメントからは、マリノスのカウンター対策として4バックを採用したという内容が読み取れます。マリノスの3トップに対して4バックを残せるのでカウンターにも対応しやすくなるという理屈ですね。実際にこの試合の広島の4バックの人選はいつもの3バック+志知で、CBを4枚並べたかのような守備力のある並びになっていたと思います。
この4バックで後方の守備力を担保しつつ、前線からのプレスでマリノスのビルドアップを捕まえようという意図だったと思いますが、実際には前半の広島のプレスはさほど効果的とは言えませんでした。

その理由は主に「DHを捕まえきれていない」「内側レーンのケア不足」の2点が原因でした。マリノスの2DHに対しては広島のIHが2人で捕まえてパスコースを塞いでおき、その間にトップのナッシムが2CBのどちらかにプレスをかけて追い込むという設計だったと思われます。
ところが広島のIHによるプレス強度が足りず、マリノスの2DHはボールを受けてCBにリターンできるので、これでナッシムのプレスを無力化しCBに時間を与えていました。

こうして時間を得たCBは内側レーンに入ってくる西村やロペス、あるいは中に入ってくるSBに縦パスを通すことができます。マリノスはSBやWGがサイドに張ることで広島のSHやSBをサイドに釣り出し、それによって内側レーンを空けていた節があります。ここに西村やロペスが入ってくるわけですが、広島はアンカーの山崎やCBがついて行く仕組みにはなっておらず、フリーにしてしまう場面が見られました。

総じて広島のプレスは前半の間は無力化されており、押し込まれる時間が続きました。ただ、京都戦の記事でも書きましたがSBが釣り出された際にアンカーがカバーに入ってIHがバイタルを埋めるという動きがスムーズにできるので自陣にスペースができにくく、引いた時の守備は意外と堅かったという印象です。

京都戦の時に描いた図

突撃までどうたどり着くか

一方、ボール保持については先述の記事で言及したようなメリットが出ていたと思います。つまりIHを高い位置においてSBCB間に突撃しやすくできるということですね。違いとしては左サイドの内側に立っていたのはSHの東で、幅を取る役割はSBの志知がやっていたという点でしょうか。22分の森島の突撃→東のシュートなどは狙い通りの形でしょう。
そこは良かったのですが、この試合で問題だったのはそもそもどうやってボールを前に運ぶのかという点です。

左サイドは志知が高い位置を取ることでマリノスのWGを置き去りにし、大外でボールを受けて加速できる配置になっていたと思います。一方で右サイドは住吉が低い位置のままで、さらに森島が降りて来たり山崎が寄ってきたりするので人が多くなり、誰がどうスペースを使うのかの分担が難しくなっていたという印象です。
失点シーンでは森島が裏に走って山崎がそのスペースを使うという狙いまでは良かったですが柴崎まで意図が通じておらず、ミスを奪われたところが起点になっていました。その後の住吉の対応にも問題はあったと思いますが。
ここはミスが問題というよりそもそも意図を共有するのが難しい配置になっていたと思うので、どういう形で前進を狙うのかあらかじめ設計する必要があると思います。

的確だったプレスの修正

プレスがハマらずビルドアップのミスから失点するという厳しい展開となった前半でしたが、後半は押し込む展開を作ることに成功します。これは前半のプレスで見られた2つの問題点が修正されていたのが理由でしょう。

まず「DHを捕まえきれていない」という点については、シンプルにプレス強度を上げて対応していました。喜田と渡辺に縦パスが入ったら即捕まえてカウンターしてやろう!という気概を感じましたし、実際にそういう場面も複数ありました。

また、「内側レーンのケア不足」もしっかり対応されていて感心しました。まずSHのプレス開始位置を内側にすることでパスコースを塞ぐという工夫が見られました。これによりCBから直接の縦パスは入りづらくなりますし、場合によってはSHが直接CBにプレスに出ていくこともできます。エゼキエウなんかはその動きが多かったですね。また、SHのプレスがかわされて縦パスを通された場合には山崎、佐々木、荒木による迎撃で対処します。特に佐々木が出ていく範囲は前半よりかなり広くなっていたと思います。

この2つの対応によって75分まではマリノスを押し込むことに成功していました。この時間はチャンスも多かったのでなんとか1点もぎ取りたかったところですね。改善点としてはクロス精度でしょうか。ニアに出して弾き返される場面が何度もあったので、ゴール前にスペースがあるならファーへ、そうでないならマイナスにクロスを上げるという形を意識してほしいなーと思います。後半に水沼が見せたクロスは良いお手本になるでしょう。シュートが枠に飛んでいないのは、まあ頑張ってもらうしかないでしょう。

なお、75分以降のマリノスは「SBを高い位置に上げれば広島のSHは置き去りにするか押し下げられる」という認識を統一して広島のプレスを剥がしまくっていました。この辺もさすがだと言えるでしょう。

雑感・次節に向けて

4バックで奇襲を仕掛けた広島でしたが、前半はいつもと勝手が違う自分たちの姿に戸惑う場面も多かった印象です。それでも後半にはきっちり対応してきたのはお見事。ボール保持には不安もありましたが、山崎のアンカーや東のインサイドWGにして川村をゴール前に配置するなど、今後に向けてポジティブな要素も多かったと思います。
次節の新潟もマリノスと同じような配置をしてくるタイプなので、この試合の収穫を活かしてもう一度この並びで臨んでみてほしいなと思います。まあ伊藤がいないので前回対戦時の後半のような3-1-4-2で押し込みに行く方がいいのかもしれませんが。

マリノスは保持で流石のクオリティを見せて5連勝。やはりゴール前での精度は素晴らしいですね。相手のプレスに対する対応の早さもさすがでした。今シーズンはメンバーを固定しがちな印象ですが、だからこそこういったイレギュラーにも素早く対応できるのかもしれませんね。

それではまた次回。

#16 【J1第17節 川崎フロンターレ×サンフレッチェ広島】

はしがき

毎度お世話になっております。前半戦最後の相手は川崎。今シーズンは出遅れていながらも調子を取り戻しつつあり、今年上位勢に勝てていない広島としては何とか乗り越えたい壁です。スタメンは以下。

川崎は前節とまったく同じ11人での4-3-3、広島は両WBとシャドーの3人を変更して臨みました。

移動でプレスに対抗する川崎

前半から広島はいつものように前プレスを仕掛け、川崎を自陣に釘付けにします。また、ドウグラスをサイドに流して起点を作ることで保持でも川崎を押し込むことに成功し、川崎を30分までシュート0に抑える展開を作れていました。

これに対して、川崎は2つの手段で対応するようになります。1つがSBの内側レーンへの移動です。

2CB+アンカーのビルドアップ隊は広島の1トップ2シャドーにきっちり監視されていますが、SBに対する広島WBの監視はそれよりは緩く、内側に絞った時に広島のWBはついて行くべきか悩んでいる様子でした。というわけで6分の登里の移動を皮切りにSBの内側絞りは頻繁に見られるようになっていきました。

もう一つがダミアンの投入によるポストプレーです。ダミアンの投入自体はアクシデントによるものでしたが、頂点にダミアンが入ることにより荒木と互角の勝負ができるようになり、それに伴って脇坂や大島がポストを受けて前進する場面が見られるようになりました。
広島の2DHは川崎IHが最終ラインから直接パスを受ける動きにはしっかりついて行っていましたが、ダミアンに列を飛ばすパスが入ってその落としを受ける動きに対してはマークが甘くなりがちでした。

それでも強度の高さでカバーしていましたが、35分辺りからカバーが間に合わなくなり川崎に前進を許すシーンが増えていきました。

2DHで中盤の優位性

広島の保持は川村のハーフスペース突撃が生命線になっており、前半は左サイドから決定機を作り出すことができていました。これがうまく刺さっていたのは流石という感じだったのですが、後半から川崎が少し布陣を変えて対応してきます。

それが大島のDH化による中盤のプロテクト強化です。SBとCBの間に抜ける川村に対して大島がついて行くことでクロスを防ぎ、中央のカバーにもシミッチを残せるようになります。これにより左サイド攻撃の威力が下がった広島にとって、徐々に川村を前に出すデメリットの方が大きくなっていきます。

ずっと言われていることですが、川村が前に出ていったことで野津田が中央のスペースを1人でカバーすることになり、どうしてもカウンターを受けやすくなります。川崎の得点シーンはまさにここを使ったシーンでしたね。得点シーンで起点となるパスを通した家長はその5分前にも同じような形でカウンターの起点となっており、ここは広島の弱点として完全にばれていたと言えるでしょう。っていうか去年と同じですねこの辺は。

正直このスペースを一人でカバーするというのはまあ無理があるんで、野津田が守備できないとかそういう問題ではないと思います。後半は川村の突撃を絡めたサイド攻撃は収支がマイナスに振れていたので、プラスを大きくするかマイナスを小さくしに行くか、どちらかのアプローチをとる必要があるでしょう。
つまり攻撃の火力を上げて今のリスクに見合うだけの得点をとれるようにするか、今使われているスペースを埋める設計をしてリスクを下げるか、どっちかには着手する必要があるという話ですね。

横断した先は

攻撃の火力を上げるという意味では、広島が後半に何回か見せていたボールの動かし方はヒントになりそうです。

川村の突撃によって大島が最終ラインに吸収されるので、川崎の中盤は人数が少なくなります。シミッチや脇坂がバイタルエリアを塞いでいるので中央から直接ゴールに迫るわけにはいきませんが、サイドを横断して逆サイドの茶島にわたるという場面は結構見られました。薄くなった中盤を経由してボールを動かしていくというのは理に適った流れで、川村が封じられた場合の前進ルートとして有力だと思います。

川崎戦ではこの展開が遅く、茶島が決して得意でない1vs1からのクロスを強いられることになりました。ここをもっと早く展開して相手の守備が整う前にクロスに結び付けられればチャンスになっていくのではないでしょうか。
あと広島のWBは今クロスに備えて結構ゴールに近いところまで入っていきますが、このルートで前進するならWBがもう少し外に立っておく必要があるのでその辺も調整が必要ですね。

雑感・次節に向けて

川崎は上位進出に向けて大きな勝利。苦しかった前半を凌いで後半にきちんと修正してきたのがお見事でした。ボール保持で圧倒する川崎らしい展開が作れなくても、しっかり相手に対応して勝利をつかみ取れるのは強さの証ではないでしょうか。

広島はプレスと飛び出しが上手く刺さっているうちに点が取れなかったのが響いて無得点。もちろん前半に点を取れるだけの精度を見せてほしいという希望もありますが、後半に相手に対応されるとそれに対して抵抗できないところにも着手してほしいかなという思いもあります。良いところも悪いところも前半戦の総決算という内容でしたので、ここからどのように変わっていくか注目ですね。

それではまた次回。