#14 【2024J1第16節 セレッソ大阪×サンフレッチェ広島】

はしがき

どうもこんにちは!今回はセレッソ戦。お互いにルヴァンを勝ち抜いた後の試合です。スタメンは以下。

広島はコンディションの問題かピエロスに代わって大橋をスタメン起用。塩谷をDHに起用する形はルヴァンの東京V戦から継続となった。
セレッソは4-3-3のイメージがあるがこの試合は4-2-3-1。前節からは奥田→毎熊の変更のみ。ルヴァンではターンオーバーしていたため主力組は割と元気そう。

タスクを正確にこなすシャドー松本

広島は前節に引き続き松本泰をシャドーで起用したが、そのタスクは前節とは違うものになっているようだった。具体的には前節はロングボールの競り合いやトランジション時に降りて行って中盤での攻防を制しやすくするというタスクだったが、今節はサイドでの崩しに関わる機会が多かったということになる。

佐々木がボールを持った時にサイドに流れることで毎熊を足止めし、東をフリーにするというのが主な流れだった。東をフリーにできれば大橋に斜めのパスを刺すも良し、アーリークロスを上げるも良し。もちろん毎熊が東まで出てくるようであれば松本は背後に走ればオッケーで、そんなに決定機には繋がっていなかったがこれもサボらずやってくれていたように思う。

なお、シャドーのサイド流れに対してはセレッソはSBを前に出してCBをスライドさせることで対応するようになっていった。

こうするとサイドではSHとSBにCBを加えて同数にできるので前進を防ぎやすくなる。一方で逆サイドは手薄になってしまうので、ここまで運ばれるとチャンスを作られやすい守り方になる。

そういう意味では新井がシュートを打つ場面を何度か作れていた広島は、セレッソの対策に対してもある程度対応してボール前進を機能させることができていたと言えるだろう。大橋のポストプレーと川村、塩谷が中継地点として機能することでサイドからの前進が防がれた後にもきちんと展開できていたという印象だった。
惜しむらくはアーリークロスがもっと決定機に繋がってほしかったところ。時間とスペースのある状態で本職FW2人にクロスを上げるのであればもうちょっとチャンスの数を稼ぎたいだろう。この形でCKを多く獲得してそのうち1つが得点に繋がっている訳なのでまるっきりダメという訳でもないが。

京都戦とこの試合を見る限り、松本泰志のシャドー起用はしばらく続けてほしいと思う。この試合でも見えたように決定力や推進力で劣る部分はあるのだが、それ以上に正確にタスクをこなす能力が高い。
適切なタイミングで裏に走りサイドに流れ、中盤に降りても良く、ハイボールの競り合いもそれなりに計算できるというパフォーマンスなので、現状では彼を差し置いてシャドーで起用したい選手はいないかなという印象である。

当然ここに割って入る存在として満田は考えられるが、以前の数試合では逆サイドに流れた結果バランスが崩れる場面が多く、そのあたりが松本との差になっていると思う。この辺りをどう修正できるかは広島が6月の過密日程を乗り切れるかどうかの大きなポイントになる予感だ。

ロングボールから流れをつかんだセレッソ

一方で、セレッソの保持時には広島はWBをSBまで上げるプレッシングでらしさを見せていた。

恐らくセレッソ側は広島と並びが噛み合うのを避けて4-2-3-1を選択しており、田中や奥埜が加藤、川村、塩谷から逃れてボールを受けられるタイミングもあった。
しかし広島の帰陣も早く、中盤より先にいい形でボールをつなげることができない。それでも25分頃からは最終ラインから直接WGにボールを渡すことで高い位置で起点を作れるようになり、クロスを上げる機会も増加。こちらもクロスから得たCKを得点に繋げることができた。

セレッソは序盤に満足いく形でボールを繋げられなかったが、そこで諦めずにトライを続けてロングボールによる前進とのバランスを探っていたのが見事だった。その甲斐あって広島の陣形が間延びした終盤には中央経由での前進もできるようになっており、この辺りは保持型チームとしての経験値を感じられた。

雑感・試合を終えて

両チームとも前進の形は持っているがそこから決定機を作るのに苦労し、セットプレーからの1得点で勝ち点を分け合う形となった。流れの中からの決定機はクルークスのカウンターと松本が抜け出したシーンくらいだろうか。両チームとも最終ラインの跳ね返し能力が優れていたとも言えるし、ファイナルサードで決めきるだけの力が足りなかったとも言えるだろう。両チームともやりたいことは形になっているので、もうちょっと高い順位にいるためにはそこが足りないという点が似ているかもしれない。

広島としては鹿島と同様にGKをビルドアップに使ってくる相手に対してズタズタにされずに対抗できたという点がポジティブだろう。プレスの改善というよりは、保持でしっかり前進できているが故の副産物という気もする。
ひとまずシーズン序盤の「内容はいいけど得点が少ない」というところまでフォームを取り戻せた感はあるので、あとはどうやって得点を増やすかだ。

それではまた次回。