#16 【2024J1第18節 サンフレッチェ広島×東京ヴェルディ】

はしがき

こんにちは!代表ウィーク明けの東京V戦をお届けします。スタメンは以下。

お互いに3-4-2-1のミラーゲームで、広島は前節と同じ11人が先発。東京Vは山田、谷口、林が前節から入れ替わっての先発となった。

保持で時間を作った後は

立ち上がりに広島がセットプレーから先制して幕を開けた試合は、東京Vのやや慎重な保持が印象的な展開となった。

東京は3バックとGKのマテウスを軸にプラスアルファで中盤が降りてくるという形がビルドアップの基本形。DHの見木や斎藤、シャドーの山田や染野も入れ替わりながら降りてくることがあった。一方でWBは割と高い位置に上げていたので、最終的には大外からのクロス狙いということなのだろう。
広島はこのビルドアップに対して執拗に追っていくという様子はなかった。前線の3人で東京の最終ライン+DHに対応しているような場面もあり、通常よりは引き気味に構えていたという印象だった。追いかけていったところでGKのところで数的不利にはなってしまうので、それならば無理しなくともよいという判断だったのだろう。そういう意味でも広島が速くに先制したことは大きかったかもしれない。

そういうわけでボールの保持はできる東京だったが、そこからの攻め筋はやや淡泊だった。多くの人を降ろす分前線には人が少なくなり、サイドに展開してからの大外クロスが攻撃の基本形であったのは先述した通り。ハーフスペースの抜け出しなども絡められれば良いのだが、後ろに多めに人を割く+木村染野はフィニッシャーとして中央に置いておきたいという要素が合わさって、崩しに回す人員がいなくなっているという印象だった。こういう形なので17分の染野のヘッドなど、ピンポイントでクロスが合わなければチャンスにならないことになる。セットプレーからの得点が多い東京Vだが、セットプレーが強いということ以外にも流れの中から決定機を作るのに苦労しているという話はあるのかもしれない。

なお、木村がボールを収めてのカウンターも保持と同等かそれ以上に威力を発揮していたので、ゴールに迫る手段そのものにはそんなに困っていないのかもしれない。

保持の安定感とその後の話

一方、リードした広島は敵陣での配置にバランスの良さを感じさせる場面が多くあった。

ビルドアップのルートとしては主に2つで、一つがサイドに寄ったピエロスへのロングボール。加藤と大橋含めて前線を少しずつサイドに寄せることでボールを奪われてもカウンターを受けにくいようにしつつ、ボールを回収した際に逆サイドにスペースを作ることができる。
もう一つは下がってくるWBを活かしたプレス回避。WBにボールが入った際にDHがしっかりサポートに入ることで東京の1トップ2シャドーによるプレスを回避することができていた。

正直どちらも目新しい方法ではないのだが、多くの場面で正確にこなしていることが印象的だった。ピエロスにロングボールを蹴った際に常に周りにサポートがいることも、WBにボールが入った際にDHがきっちりサポートに入っていることも当たり前ではなく、それぞれの選手たちがタスクを理解しているから生まれる光景だ。
5月の不振を乗り越えてチームが安定感を取り戻してきたことを感じられるゲームだった。

また、敵陣に入った後の崩しの場面では松本泰志の存在感が試合ごとに大きくなっている。この試合でも29分と30分に裏抜けと平行サポートのどちらもできる姿を見せており、1トップ2シャドーに対してもサイドのビルドアップに対してもプラスワンとして関われる彼の存在はもはや欠かせないものになってきているだろう。

ただ、ここまでの集大成と言えるこの試合をもって中盤を支えていた川村が移籍交渉のため離脱。おそらくこのまま移籍となる見込みで、後半戦はタイへの移籍が噂される野津田も含めてDH2枚が欠けた状態で戦うことになる。
もちろん補強も視野に入るだろうが、夏の移籍市場までの5試合は現有戦力で乗り切る必要がある。川村の存在があってこそ松本泰が自由に動き回れていたところもあり、そこにどう手を入れていくのか。出場停止の佐々木、ケガの荒木をともに欠く横浜FM戦は非常に難しいゲームになりそうだ。

雑感・次節に向けて

試合は大迫のロングパスと加藤のトラップが美しかった3点目でほとんど終了。ここまで健闘を見せている東京V相手に広島が貫録を見せつけた。過密日程で苦しい中で5連勝を上げ、ターンオーバーしつつすべてのコンペティションを狙える状態をキープしたのは素晴らしいの一言。
ここから先はチーム状況もより厳しいものになっていくが、どのように苦境に立ち向かっていくかを見守りたい。

東京Vは持っている手札は見せたものの、早い時間に失点したこともあり広島の安定感を崩すには至らなかった。保持の時間を作ることで攻撃を受ける機会を減らしているという印象もあり、さながらヨーロッパ中堅国のような立ち振る舞いでJ1に挑んでいるチームだと感じた。この試合でも自陣での保持や木村染野による起点づくりはしっかり通用していた一方で、そこからの崩しやプレッシングなど、差を感じる局面もあったはず。ひとまず残留ラインのことはあまり気にしなくともよい位置まで来たので、上位との差をどう詰めていくかを考えるフェーズなのかもしれない。

それではまた次回。