#8 【サンフレッチェ広島×アビスパ福岡】

はしがき

毎度お世話になっております。今回は福岡戦です。スタメンは以下。

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広島はまさかのDH両入れ替え。試合前に新型コロナ陽性のリリースがあったのでその関係なのでしょう。代わりに青山と東が抜擢されています。福岡はいつもの4-4-2。SHの金森と田邉はやや守備的なセットと言えるかもしれません。

相手のやりたいことを封じる

この試合の福岡から強く感じられたのは、「とにかく広島に気持ちよく試合を運ばせない」という強い意志。広島のやりたいことにこれでもかと制限をかけてきました。

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福岡が狙うプレッシング

広島の左右のCBがボールを持ったタイミングでSHとSBが連動して前に出ていって縦へのパスコースを遮断。広島のパスルートをCB→WB→DHと誘導して中央で奪い切る、というのが福岡の狙いでした。これはよくハマっており、広島はうまくボールを前進させられませんでした。また、福岡は奪ったら広島のカウンタープレスが発動する前に素早く前線にボールを送る傾向が強く、ここでも広島はやりたいことがさせてもらえません。

とはいえ、広島のボール保持がうまくいかなかったのは福岡の狙いが良かったからというだけではないように思いました。

数的優位は大事?

この日DHで先発した青山は、福岡のプレスを見て最終ラインに降りて受けようとすることが多くありました、特に前半。これによって最終ラインで数的優位は確保できるのですが、4人が一列に並ぶことで選手間の距離が狭くなり、福岡は3人でも十分にプレッシャーを与えることができていました。

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こうなると中盤に青山がいないため、サイドでボールを受けた藤井は完全にパスを出すところがありません。何とかドリブルで打開しようとしますが、この試合では徹底的に縦方向を塞ぐ対応をされており、さしもの藤井も突破することは難しそうでした。

この日広島の右サイドはなかなかボールを前進させられませんでしたが、藤井が対策されていたという以外にも青山が降りて行ってしまうのが原因だろうなと感じましたね。

ここから僕の推測になるのですが……青山という選手は抜群の視野の広さとパスの正確性を持っているがゆえに、ふつうのDHと比べて「時間とスペースの配り方」がパスに特化しているんじゃないかな、と思います。
そういう選手なので当然前を向いてボールを受けられないと意味がない。という訳で、より安全に前を向ける最終ラインに降りたり、ボールがサイドにある時にそこまで出張していってしまうのではないでしょうか。それで実際に決定的なパスを出せてしまうのが彼の凄いところです。

とはいえこの試合のように周りの選手が苦しくなってしまうこともありますし、立ち位置が偏ることでこぼれ球を拾えなくなってしまうというデメリットもあります。青山を見ているとトランジションの局面で遅れているように見えることがありますが、スピードが不足しているというよりはそういったアンバランスな立ち位置が一因かもしれませんね。

機能した左と後半の修正

一方で左サイドは右に比べると福岡のプレスから脱出できる場面がちらほら。

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21分の左サイドの脱出

例えば21分に見せた前進は、シャドーの満田が裏抜けしてDHの中村を動かしたことで中央で東が受けられました。中盤は数的優位なので、東が中央にいることで福岡のDHを動かしたスペースで受けられたんですね。配置のミスマッチを利用した良い駆け引きでした。
東はこの試合ミスも多かったですが、いるべき場所にいることで自分がフリーになったり味方をフリーにしたり、という仕事を果たしていたと思います。

また、後半に入ると青山が最終ラインに降りる場面が激減しました。ハーフタイムに指示があったんじゃないかなーと思いますが、こうなると福岡のDHは広島のDHとシャドーどっちを見れば良いのか迷いやすくなります。

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後半は森島や柴崎に直接パスが入る場面がしばしばありましたが、DHがうまく福岡のDHを引き付けられていたことが理由なのかなーと思います。
3バックがプレスを受けて余裕がないときは大迫まで下げて回避という選択ができるようになったのも好印象。後半のビルドアップは整理されていたなーと思います。

今後に向けて

福岡のプレスを無力化しつつ敵陣で試合を進められるようになった広島。永井のPK失敗もあったもののラストプレーで柴崎が決めて3連勝を飾りました。
得点自体は福岡守備陣のエラーという側面が大きいと思いますが、粘り強く前進に取り組み続けたご褒美がもらえたということでいいんじゃないかな、と思います。
野津田と塩谷というチームの心臓を欠き、藤井の突破力を削がれながらも3ポイントもぎ取ったのは大きな意味があると思います。

一方の福岡はほとんどチャンスを作れず連敗。相手の前進を阻む連動はさすがでしたが、どうやって点を取るか?という部分が気になりました。
最も強い得点パターンは中央高い位置で奪ってのカウンターだと思いますが、それが炸裂しないとビルドアップは大外レーンを使って最後はクロスというパターンなのでCBが強いチームから点を取るのはなかなか難しくなります。
ルキアンが爆発してショートカウンターから得点量産するのが一番簡単だと思いますが、それができなければボール保持からどうやって点を取るかというソリッド4-4-2永遠の課題に挑む必要が出てきそうです。

それではまた次回。