#7 【J1第7節 サンフレッチェ広島×横浜F・マリノス】

はしがき

平素は大変お世話になっております。ミッドウィーク開催のマリノス戦です。
スタメンは以下。

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広島は前節から浅野に代わって柏を起用。満田と森島のシャドーという組み合わせになりました。マリノスは前節から6人変わっており、ACLを控えているというチーム事情が垣間見える編成となっています。

確立した対4-3-3プレス

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この日のマリノスは喜田アンカーの4-3-3。ということで広島はこれまでの数試合で確立した4-3-3対策をこの日も披露することになりました。1トップの永井がアンカーの喜田を消しつつ、森島と満田の2シャドーがCBにアプローチ。両SBには柏と藤井の両WBがそれぞれプレッシャーをかけていきます。
マリノスはGKの高丘を使ってプレス回避しようとする場面もありましたが、そこは2シャドーがCBへのパスコースを切りながら寄せて無効化しており、これまでの積み上げが感じられました。

そんな中、マリノスの左サイドは逃げ道として度々機能していました。山根が降りたり小池を経由してエウベルまでボールを届けられればスピードで対面の野上を外して一気に前進できます。マリノスはこの形で逆サイドの宮市に際どいボールを入れるシーンを何度か作り出したほか、野津田と野上にイエローカードを出させることに成功していました。

列落ちへのマンツーマン対応

この形で脱出できることでしばらくはマリノス優勢だったのですが、30分頃から広島のプレスがハマり始めます。広島側がマリノスのビルドアップに慣れ始めたというのもあるでしょうが、僕が気になったのは山根の列落ち。

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IHの山根が左サイドの底に降りて小池とポジションを入れ替えることでフリーになろうとする動きが頻繁にみられるようになったのが30分ごろでした。列とレーンを同時に移動する動きに対してはマークを受け渡すのかそのままついていくのか難しい判断を要求されるため、フリーになれる可能性は高いと思います。

しかし広島はこの動きに対してマンツーマンを継続する形で対応。山根と小池に時間を与えませんでした。個人的にレーンを入れ替える動きに対してはWBとDHが迷ってしまってついて行けないんじゃないかなーと思っていたのでさらっと対応していたのには驚きました。対応したというか相当思い切ったマンツーマンと言ってしまえばそれまでなのですが、ポジション入れ替えに対する原則をきちんと準備していたのは素晴らしいな、と感じます。

クロスの狙いも明確に

山根と小池がポジションを入れ替える労力に見合う時間とスペースを得られなかったことでエウベルまでボールが届かない展開が増え、広島が敵陣でボールを奪える機会が増えていきます。勢いに乗った広島はショートカウンターから先制すると、後半に入っても押し続け、マリノスが交替カードを切る前に2点目を奪うことに成功します。

どちらもサイドからの折り返しによる得点でしたが、最近重点的に練習しているというクロスからの攻撃がしっかり結果につながりましたね。特に2点目は広島の攻撃の狙いが良く出ていたと思います。

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佐々木がボールを奪ったタイミングで満田がSBCB間に走ってペナルティエリアの角で受け、折り返しをニアに突っ込んできた森島が合わせたこのゴール。
この時に永井がペナルティーアーク付近で待機しています。ペナルティエリアの角を取れれば相手のDF陣はゴール前まで下がってくるためここは空きやすいわけですね。このほかに湘南戦の得点シーンのように大外から入ってきてファーで合わせる形も捕まえづらいと思うので、ここにも人を配置できるといいんじゃないかなと思います。今回はカウンターだったので難しかったでしょうけれども。
何にせよ、高さがある選手がいない中でやみくもに高いボールを放り込むのではなく、一つ一つのクロスに狙いをもって仕掛けられているのは素晴らしいと思います。

今後に向けて

水沼や畠中を投入してビルドアップを改善してきたマリノスに対し、自陣でブロックを形成するときとハイプレスを仕掛けて速攻に転じるときのメリハリをつけて対応していたのはお見事でした。結局決定機らしい決定機を与えずに完封勝利。広島としては完勝と言っていいゲームだったと思います。
チーム全体の狙いが機能したのはもちろんですが、常に裏を狙って深さを作り続けた永井、圧倒的なスピードで脅威を与え続けた藤井など個人の頑張りも光る試合でしたね。ショートパスによるビルドアップを志向してくるチームに対しては川崎でも横浜FMでも押し込めるという自信をつけられたのは大きいですね。あとは4-3-3でない相手に対してどのような対応を見せるのかは気になるところです。

横浜FMとしては序盤に見せた素早い脱出を続けられなかったのは残念。ACLを見据えてメンバーを入れ替える中でビルドアップの手口を共有するのは難しかったのではないかなと思います。とはいえサイドからビルドアップに関われる水沼の投入など応手の的確さは流石。修正しようと思えばもっと早くできたんじゃないかなと思うので、選手たちの修正力をどこまで信じるかといったチームマネジメントの難しさがあるのかなーと感じました。

それではまた次回。