はしがき
毎度お世話になっております。この振り返りも10回目となりました。21節なのに10回目かよ!せめて全カードでやれればと思うのですが、どうですかね。
さて今回は札幌戦。この真夏に中2日はきついですよねえ。ということでスタメンは以下。
広島は野津田が久々の先発。あとは負傷した佐々木に代わって引き続き井林が起用されています。一方の札幌は荒野が深井にチェンジ。並びは3-4-2-1です。
ミシャ式対決の命運
さて、両チームとも表記では3-4-2-1ですが、実際には様々な配置を使い分けています。特に札幌はペトロヴィッチ監督の代名詞であるミシャ式、ボール保持時に4-1-5に近い形になるおなじみのやつが実装されています。
対する広島はどうするかと思いましたが、稲垣と川辺のどちらかが降りて4バック化する動きが頻繁に見られました。まあ札幌も3-4-2-1とあって3バックだと同数プレスを喰らう可能性があったので、そこで安全にボールを進めたいという意図はあったのでしょう。
そんなわけでミシャ式対決に近い様相となった前半ですが、札幌が決定機を量産しました。
決定機は主にサイドから生まれていまして、クロスを中で待ってるジェイのヘッドでポストに直撃ということが2回ありました。札幌はGKのクソンユンも積極的に使ってビルドアップするため広島は人数を合わせたプレスを行えず、WBまでは割とボールを運べていたかなと思います。そこから右サイドではキレッキレのドリブル突破を持つ白井に渡してのクロスというパターン。左サイドはハイネルが結構ボールに食いついて前に出てくるので菅がその裏を狙うことが何度かあり、そのうち1回はポスト直撃の決定機につながりました。
広島としてはクロスに合わせるにしても中央のコンビネーションにしてもジェイの高さ、強さにはかなり苦しんでいるように見えました。特に何もないところから白井のドリブル、ジェイの高さでゴールに迫れるのは札幌の大きな強みと言えるでしょう。
また、広島は今節はサイドの守備でハイネルが前に出てくる様子が目立ちました。前節はきちんと我慢してSHが絞ってきてうまくいっていたので、ここはちょっとまずかったかなと思います。城福監督もしきりに修正を呼びかけていたようですし。
一方、広島のボール保持は札幌によってかなり封殺されていました。
広島の主な攻撃ルートはハーフスペースにおけるCBからシャドーへの縦パスからの展開なのですが、札幌はシャドーの鈴木とチャナティップがCBの前に立つことでこのパスコースを封鎖、さらにCBが広島のシャドーを捕まえに出てくることで自由を与えないようにしていました。セレッソもこうしたやり方は採用していましたが、このやり方をされると攻め手がなくなるのは広島の課題ですね。
そんな中、即興っぽかったですが13分ごろにこの守備を良い形で突破するシーンがありました。
森島のスペースを消すために出てきた進藤の裏に柏が斜めに走りこみ、裏を取ったというシーンです。相手のCBが出てくるのであればその裏を狙う、というのは相手を見てサッカーをしているという意味でとても良かったと思います。左サイドは個々が自分のタスクを理解できていると思うので、この試合のようにそれが妨害されたときにこんな感じの動きを何度も出せると良いですね。
広島は他にも解決策としてシャドーの左右を入れ替えてみたりサイドに流してみたりしていましたがそれであまり状況が良くなったということもなく、攻撃はあまり機能しないまま前半を終えました。
深さを使った解決とその後の意思統一
さて後半、前半耐えていた広島がギアを上げるかなと思って見ていると、49分に広島が先制します。
先ほど述べた13分の柏の突破と似た形で、柏がサイドの高い位置で受けたところから森島がハーフスペースを縦に走って受けて折り返し、エリア内に入ってきた稲垣が決めるという流れでした。やはり進藤が出てきたスペースを使えており、前半から出ていた問題に対する解答がゴールという結果として現れた良いシーンだったと思います。CBが出てライン間を封殺してくるのなら深さを使っていく、というのができるかどうかは広島が今後得点を奪っていけるかどうかを分けるポイントになりそうです。
あとはやっぱりWBが高い位置で受けられないとこういうことは中々できないんですよね。柏は結構できているのですがハイネルは割とボール触りに下がってきちゃうし、ボールを持ったらドリブルしか考えてないし……という感じなので、彼の立ち位置や選択についてももうちょっと整理してみてほしいかなと思います。
で、得点を奪ったのだから広島は前節みたいにライン間を消して引いてしまうだろうと思っていたのですが、割と変えずに奪いに行ってたんですよね。ただ相変わらずGKも使ってくる札幌からはボールを奪えず、ライン間にスペースはあるしSHDH間も空いてるしで結構危ない場面を作られていました。後半は特にチャナティップがライン間で受けてスルーパスとかシュートとか危険な仕事をする場面が目立ちました。
正直言って失点しなかったのは運が良かったとしか言いようがなかったと思うんですがギリギリでしのぎきり、また札幌も交替によって攻撃に勢いを加えることはできず。1-0のまま試合は終了しました。
試合を終えて
広島としては、結構課題が出たものの勝ち点3をとれたのはラッキーでしたね。左サイドのボール保持でCBの裏を使うという動きが見られたのはポジティブなことだと思うのでそれをスムーズに出せるようにすることと、そろそろ右サイドのタスクを整理できればな、と思います。それができれば野津田ももっと持ち味を活かせると思うのですけど……
札幌にとってはアンラッキーなゲームとなってしまいました。大外からも中央からも危険な攻撃ができるというのは大きな強みで、今節については運が悪かったと割り切ってもいいかなと思います。強いて言えばジェイや白井、チャナティップのタレントに依存するところが大きいので、この試合の後半のように彼らが疲労してきたときにどう打開するかは検討の余地があるかもしれませんね。
それではまた、次回があれば。