#35 【2024J1第36節 浦和レッズ×サンフレッチェ広島】

はしがき

毎度お世話になってます!今回は浦和戦。連敗で首位陥落となった広島、2ポイント差で追う神戸を逆転するべく勝利が欲しいところ。対する浦和は残留確定まであと一歩という状況でした。スタメンは以下。

広島は前節からゴンサロ→塩谷で前線の流動性を上げて保持の構え。ベンチはCF3枚に満田と柏青山というピーキーな編成となった。
一方の浦和はCBにホイブラーテンが復帰し、左SBには長沼がいるというエモーショナルな展開。2試合連続のクリーンシートを続けられるかがカギとなる。

バレていた広島のサイド狙い

前節と異なり加藤を1トップ起用した広島だが、狙いどころは前節と同じでSBの裏。シャドーのトルガイではなくトップの加藤を流す形で前進を図った。

トルガイは中盤に留まってボールの引き出し役になることで背後と手前の二つの選択肢を確保しようという狙いかもしれない。加藤が流れることで中央にフィニッシャーがいなくなるものの、ボール前進の手段としてはそれなりに機能しそうな設計であった。

ところが、浦和は前節の京都戦を見てなのか広島のSB裏狙いを読み、石原と関根を下げてスペースを消すという対応を行ってきた。その分佐々木はフリーになってしまうので、そこはリンセン渡邊がスライドしてプレスをかけるという方針だ。この2トップは広島のDHへのパスコースをしっかりと切りながらプレスをかけてきたため佐々木はボールの逃がしどころがなく、スペースの消されたSB裏へ長いボールを蹴ることが多くなっていた。
浦和の高いDFラインの背後を突いて抜け出せるタイミングもあったが井上もカバーに出てくるのでなかなかチャンスにはつながらず、京都戦に続きここの狙いはあまりうまくいっていなかった。

一方で、右サイドについては松尾が中野、長沼が新井までボールを奪いに出てくるので、その背後を使うという狙いは機能していたように思う。

中野が松尾を引き付けて新井とのワンツーで侵入していったり、長沼の背後に走った松本がホイブラーテンを釣り出すというシーンもあった。開始早々に松本が右サイドからホイブラーテンを剥がしてクロスまで行った場面があったが、加藤も中央にいるしこの形が一番可能性が高いと感じた。

前半の広島はトランジションの強度も高く、左サイドからの前進こそ読まれていたものの右サイドからの侵入でカバーして押し込むことに成功してリズムをつかむことができていた。ただ、コンパクトな浦和のブロックに阻まれてゴールを割るのには苦労していたというところだろう。

狙いすましたカウンターを繰り出す浦和

押し込まれる時間が続く中、浦和はWGの走力を活かしたロングカウンターに活路を見出していく。起点となっていたのはサイドに流れたリンセンだった。

リンセンがサイドに流れて佐々木の前で起点を作って渡邊やグスタフソンがフォロー。入れ替わりで中に入った関根が出てきた荒木の背後を使ったり、逆サイドの松尾がカットインのシュートを狙う形だ。
前半終了間際に関根の決定機、松尾のゴールという形で結果に結びついており、辛抱強く機会を待った結果が出たという形。リンセンのサイド流れは前半の早い段階から見られたが、前半終了間際の広島が強度が落ちるタイミングでサポート体制が整い結実したというところ。
後半も早い段階からセカンドボールへの出足で明確に後手を踏んでおり、後半の広島は過去に類を見ないレベルで疲労を感じさせる出来だった。

サイド狙いの消失をアイデアでカバーするも……

後半の失速に輪をかけたのがゴンサロの投入だった。ここでトップがゴンサロ、左シャドーにトルガイ、右シャドーに加藤という形になったが、誰がSB裏に抜けだすのかがここで完全にぼやけてしまった。
前半は左に加藤、右に松本と深さを作る人が決まっていたのでそのための動きを連動してやっていたのが、背後に抜ける人がいなくなったことでただサイドの奥にボールを蹴っているだけになり、ボールの回収率が一気に落ちたように感じた。これなら最初から2トップにでもした方が良かったのではという気もするが、フィニッシャーの確保とプレス強度の確保の両取りを狙ったのだろう。

2失点目の後は浦和のプレスが落ち着いたこともあってボール保持の時間が少し増え、58分の加藤の抜け出しなど可能性を感じる場面もあった。

東が高い位置を取ることで関根を押し下げて5-3-2のような陣形になり、空いた左サイドのスペースで松本が引き取ってからトルガイに渡してスルーパス。このあたりは浦和の非対称の守備をうまく逆手に取ったいい攻撃だったように思う。松本は64分の加藤の決定機でもビルドアップの出口になっており、彼のスペースを活かす能力は中盤でも十分に活かせるということを実感できた。

結局この後CFを3枚並べて放り込み体制に移行。ターゲットマンを3人並べたこともあってチャンスも作れたが、バランスを崩した状態となった広島がカウンターで3失点目を喫して終了となった。

雑感・次節に向けて

さすがに3-0という結果は内容に対して悪すぎるようにも思うが、前半耐えてロングカウンターで一発入れ、広島がバランスを崩したところで加点するというのはおおむね浦和の目論見通りだっただろう。
コンパクトな守備をベースに洗練されたカウンターを仕掛ける浦和の戦い方はお見事。サポーターの雰囲気も合わせ、今の埼玉スタジアムは難攻不落と感じる一戦だった。

広島はコンディションに難がある状態の上前半に裏狙いを連発しすぎたことで後半に強度が低下。後半にクリーンな決定機を二度迎えた加藤がどちらも枠外に外してしまったことは、前半から裏に走り続けたことと無関係ではないだろう。
ACL2もある過密日程の中でチームが主導権を握るためのカードがハイプレスと裏抜けという体力を激しく消耗する2つしかなかったことで、体力がなくなった時に何もできなくなってしまったと映るゲームだった。京都戦でも述べた通り既に強度だけでは勝てない段階になっているので、相手に強度で劣ったりコンディションが厳しい時にボール保持で試合を落ち着かせ、自分たちに有利な展開を作り出せるようになる必要があるだろう。京都戦と浦和戦を見てもそのための選手層は十分にあるので、あとはチーム内でどう整備するか、試合の中でどのように意思統一していくかだ。

チームの中でも課題の認識と試行錯誤が行われているのは見て取れる。ボール保持の局面とは関係ないが、浦和戦ではこれまで何度も狙われていたバイタルのカバーをWBが精力的に行っている様子が見られた。

現状で何が足りないか、その解決のためにどうするかという取り組みは正しい方向に向かっていると思うので、中断期間を活かしてより自分たちが主導権を握れるようになる取り組みがなされることを期待したい。

優勝に向けてはかなり厳しい結果となったが、神戸が引き分けに終わったためまだ一試合で順位が入れ替わる可能性もある。今のチーム状況では神戸の結果以前に2連勝が高いハードルかもしれないが、悲観するには早いと感じる面もあったことを記して終わりにしたい。

それではまた次回。