はしがき
毎度お世話になってます!今年もシーズン終了したということで、シーズン全体のレビューをやっていきたいと思います。
で、今年がどういうシーズンだったかを振り返るにあたってはやはり成績を見ておく必要があるでしょう。今シーズンの成績はご覧の通りでした。
リーグ戦:19勝11分8敗勝ち点68(2位) 72得点(1位)43失点(5位)
ルヴァンカップ:ベスト8敗退
天皇杯:ベスト8敗退
ACL2:グループステージ首位通過
改めてみるとなかなか堂々たる成績ですね。どのコンペティションでもそれなりに勝ち進めていることが分かります。逆にどれもそれなり止まりで、現実的にタイトルを争うところまで行ったのはリーグ戦くらいだったとも言えるでしょう。
そんなリーグ戦については勝ち点の推移をグラフにしてみました。

これを見ていると序盤の6試合勝ちなしと夏場の7連勝、終盤の5試合で1勝4敗だったこと辺りが気になりますね。というわけで、今シーズンの戦いを振り返りつつ、そのあたりの原因を考えて行こうと思います。
6試合勝ちなし期
この時期の不調の要因としてパッと思いつくのは本職DHの不足ですね。山崎が早々にシーズン絶望の大怪我を負ったこともあり、開幕の時点でDHの川村の相方を本職ではない満田が務めることになっていました。序盤は何とか勝ち点を積み上げたものの、川崎戦からの川村の離脱で本職不在が本格化。満田、東、野津田を試しながらも結果は出ず、松本泰のフィットと荒木の復帰によって塩谷を中盤で起用できるようになるまで解決を待つことになりました。

もともと松本のパフォーマンスが絶対的という訳でもなかった時期なので、試合が次々やってくるこの時期に最適解を見つけられないまま時間が過ぎていってしまったのは不運だったと言えるでしょう。
とはいえ単に選手がいないというだけが低パフォーマンスの理由だったとは言いがたいような気もします。本職DHがいなくて中盤の守備が不安定な状態なのに前線のピエロス大橋加藤にロングボールを放り込み続けるというシーンが多く見られました。この3人はボールが収まることは間違いないのですが、当然競り負けることもあるわけで、そうなるとセカンドボールを回収できないという展開に陥ります。DHがいなくて中盤の守備が安定しないという課題に対して、選手を変えることで解決ができなかったというのがこの時期の不調の要因かなと思います。
夏場連勝期
福岡戦からのリーグ戦7連勝、磐田戦までの10勝1分は多くのサポーターの記憶に新しいところでしょう。川村に加えて大橋、野津田が抜けるという厳しい夏場でしたが、トルガイと川辺が加わったことで中盤の安定感が増し、シャドーでの起用もあってプレー機会を増やした松本を組み込んだ変幻自在のボール保持が確立した時期でしたね。

シャドーの松本が降りてきてボールを引き出したかと思えばWBの東が中央に侵入していったり、松本がDH起用された試合では3列目からの飛び出しで崩しに関与してきます。C大阪戦や柏戦のパフォーマンスは圧巻でした。
一方でサイドの裏のスペースを狙い続けてカウンターで得点を重ねた横浜FM戦や、序盤から高い強度で押し込んだ町田戦など、これまでの戦い方の延長で勝ち点を積み上げた試合もあり、新しく確立した保持による攻略とこれまでの非保持での強度を軸にしたスタイルの融合が見られた時期でした。
終盤失速期
好調だったチームの潮目が変わったのが代表ウィーク明けのアウェイ湘南戦。中島と川辺をDHに起用し、夏場によくやっていた加藤の1トップに戻した試合でした。

ゴンサロの状態もあまりよくなさそうだったので、加藤のトップに戻してボール保持に振るのかなと思っていたのですが、後半になるほど長いボールを蹴らされるシーンが増えていったような記憶があります。
この試合では中島や川辺を上げてビルドアップの出口にしようとしていたのですが、それが上手くいかずにDHが上がったスペースを使われてカウンターを受けたり、そもそもDHを上げるのが早すぎて繋げずに長いボールを蹴るしかなくなるなど、DHの列上げが常態化することによる弊害が強く出ているという印象でした。
この前の月あたりから川辺の攻撃参加も増えており、鹿島戦などそれで点を取った試合もあるのですが、この辺りからバランスを欠いていると感じるシーンが増えていきました。
バランスを欠いてボールを保持できない状態になるとプレスをかける必要が出てきますが、ある程度ボールを保持できる前提でゴンサロやトルガイを起用していることもあり、プレッシングの威力は前半戦よりは控えめなものとなっていました。
結果的にボール保持もプレスの威力も失った状態で終盤戦を戦うことになり、しっかり対策をしてきていた京都、浦和、G大阪に敗れて2位でシーズンを終えることとなりました。
シーズンの課題と来シーズンに向けての展望
ということで、シーズンを振り返ってみての課題は以下の3点だと考えています。
①シーズンを走り切るスカッドの確保
②ハイプレス以外の戦い方の確立
③非保持で耐えられる守備構造の整備
①はシーズン序盤の不調の教訓ですね。2024シーズンは開始時点で(昨シーズンまでの主軸だったとはいえ)本職ではない満田がDHをやっているという状況で、川村の離脱によってDHの組み合わせで迷走してしまいました。
来シーズンはACL2→ACLEの年中過密日程がほぼ確定しているので、今シーズン以上に負傷離脱やコンディション不良も多くなってくると思います。誰かが離脱したらすぐにチームが立ちいかなくなるという事態を避けられるようにしておきたいですね。
夏からの補強とシーズン終了後の移籍市場の動向を見ると、過密日程を乗り切るのに必要な頭数はそろいつつあるという印象です。あとは信頼できる選手が何人になるかが重要になってきますが、いざという時に準備ができているように、いろいろな選手にプレー機会を与えてほしいところです。特にCBは少人数で回しているので、ここは早めにプレータイムを分散できるようにしてほしいですね。
②は終盤の不調の教訓で、このブログでも長く主張していることですね。スキッベ体制の広島はハイプレスを武器にしてきましたが、ラスト5試合を見ても分かるように既にほとんどのチームはハイプレス対策を実装してきています。
そのような相手に対してやみくもにハイプレスとロングボールを続けても勝つことは難しいですし、勝てたとしても過密日程は乗り切れないでしょう。
ここで必要とされるのはハイプレス以外の手札、ボールを保持して相手を走らせたり、ミドルブロックに移行して休んだりすることです。これらは夏場には実際にできていたことなので、これをもう一度しっかりと落とし込んで試合中に使い分けられるのが理想です。非常に難しい課題ですが、おそらくこの3年間で広島よりもプレスをかけ続けたチームはいないはず。他のチームよりも早く壁にぶつかり、他のチームよりも多く経験していることを活かして対策の対策を編み出してほしいなと思います。
③は個人的にずっと気になっていることなのですが、今シーズンやられる場面が多かったのでご紹介。

広島は相手の裏抜けに対してDHがついて行ってカバーすることで対応するのですが、5バックならCBに受け渡して対応するべきだろう、というやつです。DHがついて行ってしまうと中盤にスペースが空き、そこからシュートを打たれやすくなります。リーグ終盤の湘南戦や京都戦での失点はここを使われてのものでした。
この守り方は城福さんが監督の時からこんな感じで、もう全チームにバレていると思うのですがそれでも変えていないので、選手側がこの方がやりやすいとか何らかの理由があるのだと思います。4バックならこういう守り方は普通なので、4バックに移行しないかなとか考えているのですが、まあこの辺は何か変わったらまた書きましょう。
終わりに
なんだか暗めなシーズンレビューとなってしまいましたが、新スタジアムという慣れない環境、ACL2もある過密日程の中で最終盤まで優勝争いを演じての2位は基本的にはポジティブなことだと思っています。
一方で、仙田社長も言うように広島はもはや一地方クラブを脱した規模になりつつあり、成績としてもそれに見合ったものが求められるようになります(明らかに補強への投資も増えているし……)。
どういう選手を取ってくるかも大事ですが、どういうサッカーをやろうとしていてそのために何を仕込んできているかをつぶさに観察するということは今後も欠かさずやっていきたいですね。
今シーズンもお付き合いいただきありがとうございました!それではまた来シーズンお会いしましょう。
と言いつつ、選手個人のレビューも書くかもしれません。