#31【2025J1第34節 サンフレッチェ広島×FC東京】

はしがき

毎度お世話になってます!今回はホームFC東京戦。リーグ戦優勝は厳しい状況ですが望みをつなぐためには3ポイント必須の一戦です。スタメンは以下。

広島は田中聡の負傷に伴いDHは川辺と塩谷のセットに。中島と東が不在のためジャメ加藤のシャドーにジェルマンがトップで先発となった。
FC東京は前節からショルツ東山下の3人変更、並びは4-4-2でのスタートとなった。

WBをサポートしてあげたい

試合は序盤から広島がボールを握る展開で進んでいく。FC東京はまずミドルゾーンで構え、隙があれば山下と佐藤の2トップを起点に追い回していく方針。

FC東京は4-4-2の形だったため、広島としてはサイドに活路を見いだそうとしていたものの、今ひとつ思ったように行っていない印象だった。

WBにボールが入った際、シャドーがサイドの高い位置に流れてボールを引き出そうとする動きが多く見られた。これによって相手のSBを前に出てこれなくしたりDHを中盤からどかしたりできるのだが、どうもそうして作ったスペースを有効に活用できていないように見えた。

上の図は27:30のシーンだが、新井にボールが入って加藤が高を釣り出したのに、そのスペースに入ってきている人がいない。シャドーが降りてくるなりDHが上がってくるなりして中央を経由して攻撃を進めたいところだが、誰かが空けたスペースに入ってこようという意識が薄かったように思えた。

16:58のシーンはジュソンが遠藤を引き付けて新井にパスを出し、加藤が長友を止めていることで新井がフリーになれた。ここからサイドチェンジの選択をしたものの相手のスライドが間に合ってしまったというシーンである。直接サイドチェンジでも悪くないのだが、ここも前線と中盤で繋いで相手を中央に引き付けながらサイドに展開することで中野により時間とスペースを与えられたと思う。

総じて、誰かの作ったスペースを活用する、ボールを持った人が相手を引き付けて味方にスペースを提供してから渡すという方針になっていないように見える前半であった。

配置のバランスはよくなったけど

後半からはトルガイと中村が登場。トルガイの登場により、中盤は塩谷のアンカーでトルガイと川辺のIH、ジャメと加藤の2トップのような形になる。陣形の都合上左サイドはやや人が少なくなるが、その分推進力のある中村を大外に置いたということで理解できる采配だ。

3-5-2のような形になることで相手の2DHに対して3センターで数的優位を作れる形になったのだが、この優位性を活かしきれていたかというとそうでもない印象であった。

相手のDHを外せないまま縦パスを入れて失ってカウンターを食らったり、前半同様にサイドからの前進を試みてCBに潰されたりする機会が目立った。トルガイが引いてきてフリーになったところで自ら運んで行く形は可能性を感じたものの、それを複数回作り出すには至らなかった。東京の2トップとDHの間で塩谷が浮いている場面が多かったので個人的にはそこを使って欲しかったが、今ひとつCBが運んだりIHが相手を引き付けたりといったアクションが足りなかった印象だ。

終盤には菅を投入して前節猛威をふるったセットプレーでの決着を狙ったもののこの日は不発。押し込みつつも1点が遠い展開のままタイムアップとなった。

雑感・試合を終えて

広島としては無念の引き分け。京都戦のような決定力不足とは違い、そもそも決定機を作るところまで行けてない内容に映った。この日のFC東京のように4-4-2で引いてくるチームとの対戦が今季そんなになかった気もするので、対処に手間取ってしまった面はあるかもしれない。こういう時に頼りになるセットプレーも、その多くがニアか中央を超えないボールだったのも気になるところだった。

FC東京はまずは守備に軸足を置く戦い方で手堅く1ポイントをゲット。山下佐藤の2トップの守備への献身は頭の下がるものだった。試合の3/4をシュート無しで過ごすなどどうやって点を取るかはイメージしづらい内容だったものの、まずは地に足をつけてという方針なのだろう。順位表と対戦相手を考えれば1ポイントは決して悪くない結果と言えそうだ。

それではまた次回。