#30【2025J1第33節 サンフレッチェ広島×FC町田ゼルビア】

はしがき

毎度お世話になってます!今回は町田戦。勝ち点55同士、優勝への一縷の望みをかけた直接対決となりました。スタメンは以下。


広島は前節の福岡戦から6人変更。プレータイム管理も板についてきたが、田中聡だけはほとんど休みなしで稼働しているという状況。本職アタッカーが木下の1枚のみで、DHとシャドーに中盤タイプを並べる起用が特徴的だ。
町田は劇的勝利の前節岡山戦から前望月相馬藤尾の4人が変更。広島戦は3連敗中ということで、なんとか土をつけたいところ。

中盤の流動性で優位を作る

立ち上がりから広島は町田のプレスに対してショートパスでかわす意識を高く持ちながら試合に入っていく。配置が噛み合う盤面の中でビルドアップの出口となったのは中盤に並んだMFタイプの面々だった。

広島は塩谷がアンカーに近い形でボールを捌く一方で、相方の田中聡はたびたび前線に顔を出して町田のDHラインを超えようとしていく。14分の中島のシュートシーンや24分の塩谷→田中のパスなど、田中聡が列を上げる動きで侵入していくことで町田の最終ラインを引き出して崩すのが広島の狙いだったと思われる。
一方でシャドーの中島と川辺が中盤まで降りてくる動きもあり、下田と前は誰をマークするのか常に難しい判断を強いられていた。シャドーが降りる動きに対してはCBが迎撃するのも手だが、この日の町田は特に前半は迎撃控えめでゴール前を固めることを重視しているようだった。そのためDH周りにスペースが多くなり、広島はビルドアップの出口を比較的見つけやすい状況だった。

一方でCBをゴール前から動かさないということは最終局面での跳ね返しが強くなりやすいというメリットもあり、実際前半の広島はしっかりとボールを持てたものの町田のCBの背後を取れるシーンはほぼなく、ゴールを脅かしたのは14分の中島と43分の川辺くらいのものでいずれもミドルシュートであった。町田としてはボールを持たれることを恐れず、まずはしっかりと自陣で耐えるというプランを考えていたのかもしれず、だとすれば狙い通りに凌げていた前半だったのかもしれない。

両サイドを武器に大きな展開を狙う町田

基本的にブロックを敷いて構え、機を見てのハイプレスからカウンターを狙う形だった町田だが、ボールを持った際の前進ルートも準備されているようだった。両サイドに特徴のある選手を配置し、彼らの能力を活かしたチャンスメイクを試みる形が見られた。

右サイドでは日本代表でもおなじみ望月へのロングボールで、特に高い位置まで上げられれば効果的。左サイドは相馬をサイドの高い位置に張らせてボールを受け、中に入った増山が突撃してハーフスペース攻略かカットインからのクロスを狙う形が何度か見られた。増山のWB起用はあまりイメージがなかったが、守備強度を担保しつつこのような内側レーンでのプレーを想定したものだったのかもしれない。

先制点までは狙い通りだったが……

お互い決定機の少ないまま前半を折り返すと、50分に中盤でのトランジションからサイドでボールを受けた相馬がクオリティを見せつけて町田が先制。広島は開幕戦と同様にじりじりした展開から先に試合を動かされてしまう。

町田としては完全に狙い通りだったものの、時間が経つとともにボールを前に運べないことが気になる展開となっていく。本来は藤尾→デュークの継投で最前線でボールを収められる予定だったのかもしれないが、例によってここを荒木が跳ね返し続ける。全体が押し上げられずロングボールによる前進も通らないことで、75分を過ぎる頃には既にアディショナルタイムかのように誰もいない前線にボールを蹴り返す状態になってしまった。
ここでセットプレーを連打されたことで耐えきれなかった町田はそのまま崩れてしまいPKを献上。これをトルガイが決めて広島が劇的な逆転勝利を収めることとなった。

雑感・試合を終えて

広島は最近悩まされている決定力不足がちらついたもののセットプレーに活路を見出し連勝を達成。相手を押し込む構造を作ることはできていたので、流れの中で点が取れなくてもセットプレーが強ければこうして何とかできる試合も出てくる。個人的には交替で入ってきた菅のCKはボールスピードが速くGKにとっては対応が難しいボールで良かったと思う。京都戦も然りセットプレーから決定機を作れることは難しいゲームを打開するために心強い要素だ。

町田は終盤にかけてボール前進手段を失ってしまったことが厳しかったように映った。前半にしっかり耐えて先制点をもぎ取ったのはプラン通りだったのかもしれないが、前半の姿勢をそのまま継続したことで守り切ることに意識が傾きすぎてしまったようにも見える。自分たちの時間をどう作って相手の攻撃機会を減らすかという点において、ロングボールに頼らない手法の確立が求められそうだ。

それではまた次回。