#18 【J1第15節 ガンバ大阪×サンフレッチェ広島】

はしがき

毎度お世話になっております。今回はミッドウィークのガンバ大阪戦。5/25に開催予定がコロナの影響で流れたやつの振り替えですね。僕も現地で見ました。暑かった。スタメンは以下。

広島は引き続き3-4-2-1。野津田が出場停止のところには塩谷を上げてCBに野上を起用、1トップはサントスの選択になりました。
一方のガンバは前節から6人の大幅入れ替えで、並びも3-4-2-1になっていました。4-4-2のイメージが強かったんですが調べてみると3-4-2-1も結構やっていたみたいですね。

背後を取りに行く広島

ゲーム序盤は広島がサイドから敵陣深くまで侵入していくシーンが多く見られました。

ガンバは広島と並びがかみ合っていることを活かしてマンツーマンに近い形でプレッシャーをかけに来たため、広島はそれを裏返すような背後への動きが多かったという印象です。特にガンバの左CBのクォンギョンウォンは森島に対してかなり前に出る形で対応してきたので、その裏を森島や藤井が突く形は多く見られました。
配置をかみ合わせてくる相手に対しての対応としては理に適ったもので、何度かこの形からチャンスを作り出せていました。

ただ、時間の経過とともにビルドアップを落ち着かせるために松本が最終ラインに降り、そのスペースに満田と森島が降り……という形で徐々に重心が後ろに下がっていったのは気になるところ。1トップのサントスもボールを収めようとする動きはありましたが三浦が相手だとそこまで勝率は高くありませんでした。

ガンバとしてはこうなると降りた選手のマークはシャドーやDHに受け渡してしまえばよいわけで、あまり脅威ではありません。また、例えCBが出て行ったとしても前線に残っているサントスがそのスペースを使う様子もあまりなかったため対処は容易でした。

広島としては序盤のようにある程度前に人を残して相手の背後を使いに行くか、前線から人を下ろすなら代わりに誰かを押し出したり、サントスがスペースを使ったりと相手を迷わせる動きが欲しかったところです。この辺りは疲労もあるのかもしれませんね。

広島の配置を操作するガンバ

一方のガンバは人の配置によって広島守備陣のポジショニングを操作する準備がかなり綿密に行われていたことがうかがえました。

ガンバの右サイドは小野瀬が高い位置を取って東を押し下げてそのスペースに斎藤が進出してビルドアップの出口となります。図では満田がプレッシャーをかけに行ってますが、満田が出ていかなければ福岡が持ち上がってこれます。
広島はサイドに出ていく斎藤に対して松本や佐々木がどう対応するか決めかねている様子で、サイドで数的優位を作られてクロスまで持っていかれる場面が目立ちました。
広島としてはここは松本と佐々木を前に出して噛み合わせるか、ハイプレスを諦めて引いてしまうか対応をはっきりさせたかったですね。

また、左サイドでは野上が出てくることを利用して山見や坂本が裏を狙う動きがあり、こちらもシンプルながら効果的だったと思います。

対3バックどうする問題

前半で2点を失った広島は後半からドウグラスヴィエイラとベンカリファを投入して3-1-4-2にシフトします。前線への圧力を強めようとしますが、成果としては微妙な感じでした。

ガンバは前半に見せた斎藤をサイドに出してくるパターンに加えて、東口をビルドアップに組み込んで福岡をサイドに押し出してくるパターンも持っていました。広島の3-1-4-2だとWBが下げられた場合ここには2トップがスライドするかIHが出ていくかになり、なかなかの移動距離になって苦しいところでした。3-4-2-1のままマンツーマンみたいにした方が分かりやすかったでしょうか。

斎藤をサイドに流すパターンとの共通点としてはWBが高い位置を取って広島のWBを押し下げ、そこで空いたスペースを使うこと。今期の広島は3バック相手に何度かこの形でやられていて、おそらく今後も狙われるでしょう(今日の磐田戦とか)。なまじWB同士が噛み合っているため、受け渡す判断をすると他のところでズレが生じてしまうので対応が難しいのだと思います。

 

また、降りてくるダワンに対しては森島がついて行っており、その判断はとても良かったと思います。しかしボールを受けたダワンをフリーでターンさせてしまうことも多く、ここを起点にプレスを外される場面も見られました。とはいえこの試合の森島のタスク量でさらにダワンを潰せはちょっと酷な話なので、ここはダワンを褒めるべきかなと思います。

今後に向けて

ガンバは準備してきたビルドアップがしっかりと機能して連敗ストップ。GKを組み込んだビルドアップなど、片野坂監督のイメージにぴったり合う試合運びで今後の復調を予感させました。

広島は結局ガンバのビルドアップを抑え込むには至らず。クロス対応のミスから失点したのはもったいなかったですが、勝つのは厳しい内容で0-2というスコアはまあ妥当かなと思います。

今シーズンなかなか勝てていない3バック相手に加え、ここに来て出ずっぱりだった主力にも疲労が見え始めた中、7月の連戦をどう乗り切っていくのか。楽しみに見守りたいと思います。

それではまた次回。