#6 【2022 J1第6節 湘南ベルマーレ×サンフレッチェ広島】

はしがき

毎度お世話になっております。横浜FM戦も終わってしまいましたがまずは湘南戦から。スタメンは以下。

f:id:syukan13:20220407102403p:plain

湘南は前節から6人変更。新型コロナ感染のリリースがあったのでそのあたりも影響していそうな感じです。広島はGKを大迫、1トップを永井に変更してきましたね。お互いリーグ戦勝ちなし、勝って勢いに乗りたい一戦です。

相手と対話して前進

東京戦、川崎戦と保持率は低いものの相手を押し込めている、という展開になっていた広島ですが、この日は保持の意識が強め。自陣でボールを保持したらGKの大迫も使いながらビルドアップを図っていました。

f:id:syukan13:20220407164401p:plain

噛み合わせ的に湘南は中央が堅いため、野上や佐々木、時には野津田が2トップ脇に降りて保持を安定化し、WBが高い位置を取るという形が見られました。中央が堅い湘南に対してサイドからの前進を第一に考え、その際にはCBが2トップ脇の高い位置まで出ていくという相手をよく見た対応ができていたのは素晴らしかったと思います。

一方でその後の展開には苦労していたところ。湘南は5バックなのでシャドーが裏抜けや列降りしてもついて来られ、DHを動員してサイドから密集で崩そうとしても人海戦術で対応されていました。
このように固められた時の崩し方は今後の課題かもしれませんね。5バックで来られた場合は中盤を左右に揺さぶって疲弊させたいところ。そのためには低い位置からのクロス等が手っ取り早いですが、ターゲットのいない現状ではそれも難しく……悩ましいところです。
ショートパスでの崩しが難しい場合はトランジションで奪い返すことを前提としたボールの進め方をしてみても良いかもしれません。いわゆるゲーゲンプレスですね。

裏返されることのやりにくさ

一方の湘南がボールを保持した場合の前進ルートはおもに中央。鈴木大橋の2トップに対して近い距離でタリクがサポートできる布陣であることを活かし、長いボールも積極的に使って前進してきました。

f:id:syukan13:20220407165013p:plain

長いボールであれば広島DF陣の得意なところですが、湘南は中央に人が多いため跳ね返された後のセカンドボールの回収で優勢。前から行っても裏返されるため、広島得意のプレッシングについても効果は薄いように見えました。特に広島のDHは湘南のDHを監視するために前に出がちだったためトップ下のタリクは浮きやすい感じでした。

総じてこの日の広島はボール保持時の崩しと非保持のプレッシングがあまり効いておらず、難しい戦いを強いられていました。

クロスの狙いと試合運び

両チームとも決定機に乏しい展開の中、広島は藤井のドリブル突破から先制。この試合通して狙っていたサイドからの攻撃はお見事。これまではターゲットがいないのに中央に高いクロスを送って跳ね返されることが多かった中、手薄になりやすいペナルティーアーク付近を狙ったクロスは効果的。
チームとして中断期間に取り組んできたことの成果を感じます。ファーにしっかり入ってきていた満田もお見事でした。

そして終盤にはサントスを入れてサイドで起点を作り、アディショナルタイムにはコーナー付近で全力の時間稼ぎ。目の前の勝ち点3のためにできることを全部やる、このあたりの試合運びは素晴らしかったと思います。

今後に向けて

広島は難しい展開の中、サイド攻撃からの1点を守り切って勝利。東京戦川崎戦と比べると良さを出しにくい難しい試合でしたが、狙い通りのサイド攻撃で勝ち切ったのは大きいですね。内容が良くても勝てない試合が続いていただけに、成功体験が得られたのは大きいのではないでしょうか。

一方の湘南は6試合勝ちなしに。広島にとって嫌なことを的確に実行してきたという印象ですが、膠着状態を打ち破るだけの策を示せませんでした。町野や田中、ウェリントンがいればそのあたりも違ってくるのかもしれませんが……
次の試合も近い中、違いを出せる選手が出てくるでしょうか。

それではまた次回。