#05 熟成【J1第9節 名古屋グランパス×サンフレッチェ広島】

はしがき

えー平素より大変お世話になっております。今節も書きたいと思います。

この試合も見に行きました。なんでも平成最後のJリーグだとかでキャンペーンがあったそうで無料チケットをもらえたので。ありがたい話です。豊田スタジアムは名古屋からも最寄り駅からもやや遠いのがネックでしたが、道中様々なイベントをやっていて飽きさせない工夫があり良かったですね。

試合の話になりますが、スタメンは以下の通りです。

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 名古屋はシャビエルが欠場となり、右サイドには前田直輝が入りました。その他はいつもと同じ4-4-2のようです。対する広島は前節と全く同じメンバーを組んできました。渡1トップということはクロスへの入り方を修正してきていると信じたいですね。

基準の見つからない広島、恐れずに繋ぐ名古屋

さて、この試合では開始から名古屋がボールを持つ展開となりました。名古屋は神戸と同じように2CB+2DHのボックス型でビルドアップを図っていました。特にシミッチは厄介で、渡や柴崎を引き付けて時間を作ってからの吉田への展開をはじめ、前線に時間とスペースの貯金を渡す、というビルドアップの原則を体現しているようなプレーでした。

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これに対し、広島は撤退守備を強いられる状況となります。渡が1人でボックスの4人を見ないといけないような状態になりますが当然止められず、主にシミッチを通じて左サイドに展開されて殴られ続ける展開。広島は名古屋の右サイドでボールを奪いたかったようで、中谷にボールが渡った瞬間に野津田と柏が縦にスライドしていくことが何度かありました。しかし左サイドではこうした動きはほとんどなく柴崎はポジションを守ったため、吉田まで容易につながれて突破されかかっていました。これが例えば攻撃を右サイドに誘導してそこで奪うという設計ならまだ分かるのですが、渡は誘導するわけではなく戸惑っているように見えてしまい、単にたまたま右サイドにボールが来た時に奪いに行ってるだけなのかなあ、と感じました。

例えば渡がマンツーマン気味にシミッチにつく、とかやっていれば左サイド攻撃の威力を削りつつボールを奪いに行けていたのでは?と思いますが、実際には左サイドから容易に前進されてなんとか持ちこたえている、という状態でした。奪いどころが定まらないためカウンターも繰り出しづらく、奪ったボールもすぐ回収されていました。

持ち前のブロックの堅さで持ちこたえていた広島でしたが、37分に右サイドを起点に中央を破られ失点。右にいた川辺がボールを奪いに前に出たところ、その裏を使われての失点という形でした。プレスを恐れずに繋ぐシミッチの技術とジョーの動き出しが光る見事な得点ではありましたが、広島がチームとして奪いどころを明確にしていれば空かなかった穴ではないかとも思える失点でした。

前半の広島はボールを持てないため攻撃する場面もほぼなし。名古屋はラインが高いためその裏のスペースを突こうという長いボールでチャンスになりかけることもありましたが、それで1点とれるほど甘くはなく。厳しい状態で前半を終えることになります。

広島の左サイドを活かす術は

さて後半、広島がボール保持できる時間が増えます。名古屋がリードして即時奪回の意識が弱まったことと、ジョーにボールが収まらなくなってきたことが原因ではないでしょうか。

そんな広島が使ったのは主に左サイド。ボールを奪いに来た名古屋のSH裏で野津田が受けるパターンを初め、左サイドをビルドアップの出口にしていることが多かったですね。で、この日の攻撃は主に柏にボールを渡したところから始まっていました。

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柏に渡ると野津田がCBSB間に走るのはいつも通りですが、野津田が空けたスペースにDHが入ってきて使えていたのは良かったですね。ここは成長を感じました。ここで川辺が受ければ勝負のスルーパスなんかも入れられるわけで、彼の得意な展開ですよね。55分、59分当たりのチャンスはこの展開から生まれていました。こうした動きはぜひ継続してほしいと思います。

また、この展開をすると名古屋は吉田が中央まで絞り、和泉が引くのでその前が空くんですよね。ここで野上がボールを受けてひとしきり迷ってからエミルに渡して手詰まり、みたいな場面もあったのでそこはどうするか詰めておいてほしいなあと思います。個人的にはここに1vs1を仕掛けていける選手がいるといいなあと思うので、そういう意味ではハイネルに期待したいと思います。もうちょっとコンディション上がらないと無理だと思うけど。 

そんな感じである程度狙いを持って攻撃できたとは思いますが、何度かあった決定機を決めることはできず0-1のまま試合終了となりました。

雑感

名古屋強かったですね。特に前半、ボールを持っているときのパフォーマンスは圧巻。相手を引き付けてからパス出して時間とスペースの貯金を作る、というプレーの連続からはボール保持攻撃経験の差を感じました。どこからでも点が取れるその様はまさしく最強の矛であると言えそうです。

広島としては、前半0-0でもいい雰囲気かと思いきやボール奪いに行って失点したのはちょっともったいなかったですね。後半からはある程度きちんと攻撃の形を作っていただけに得点はほしかった。前半にボールを奪う策が不足していたことと、後半に右サイドが手詰まり気味だったのが良くなかったところですかね。ボールが全く奪えないのは神戸戦でも出ていた課題なので何とかしてほしいところ。どこで奪うかをチームで共有できればおのずと誘導すべき場所も定まり、個々のタスクも決まってくると思います。

それではまた、次回があれば。