#05 【2020J1第6節】ガンバ大阪×サンフレッチェ広島

はしがき

平素より大変お世話になっております。今節も書くことにしました。前節セレッソ大阪に敗れた広島は連勝中のガンバ大阪のホームに乗り込みました。スタメンは以下。

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広島はいつもの3-4-2-1ですが、茶島と柴崎が初先発。左WBには浅野が起用されています。一方のガンバは3-5-2。遠藤のアンカーはなかなか守備面が不安そうですがどうでしょうか。

 

噛み合わせの優位とドリブルの効果

さて、試合が始まってみればガンバの2トップは広島の最終ラインにさほどプレスをかけてこなかったため、広島は比較的落ち着いてボールを保持することができていました。

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広島の3バックがガンバの2トップ脇で持てるので、DHの柴崎や川辺が降りていかなくてもボールが前進できていました。また、CBがサイドに開いていたので自然とWBが高い位置を取ることも多かったように思います。そして、そこからの崩しで効果的に映ったのが右サイドの茶島によるドリブルです。

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茶島はサイドでボールを持つとしばしば中にドリブルで切れ込んでいく動きを見せました。これによってガンバの3センターが動かされ、ペレイラヴィエイラらアタッカーや逆サイドの柴崎へのパスコースができていました。

一方で、サイドを縦に突破しようとしていく動きについてはシャドーとWBの距離が近くなり過ぎておりうまくいっていませんでした。広島はボールを落ち着かせることは割とできていましたがそこからの前進には相変わらず苦労していたという印象です。

遠藤アンカーという諸刃の剣

一方のガンバは3-5-2そのままではなく、やや形を変えてビルドアップしてくることもありました。

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東口にボールを預けてCBの2人が開いてもう1人をサイドに押し上げ、WBが中に入ってくることでサイドでミスマッチを作り出します。こうすることで森島、佐々木、浅野らが誰を見ればいいか迷いやすくなるほか、アンカーの遠藤が降りていった場合にも捕まえにくくなっています。

ガンバはこうして降りていく遠藤にボールを渡し、それを起点にボールを前進させる場面が多く見られました。遠藤はブロックの外側でフリーになればサイドにも中央にも自在にパスを通せるため、それがガンバの攻撃を活かすことに繋がっていました。その後はIHの倉田やFWの宇佐美が動き回って数的優位を作ってコンビネーションによる突破を狙う、という流れになっていました。前節のセレッソのように動きが決まっているわけではありませんでしたが、強力なタレントがいるので彼らを自由にやらせるために大枠だけ決めるという形なのかもと思いました。

一方で、アンカーに遠藤で前線の選手は自由に動き回るため、ネガトラについては脆いところも数多く見られました。

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ガンバは敵陣の奥でボールを奪われた場合にWBもIHも高い位置を取っていることがしばしばあり、遠藤の脇をあっさり通過されて広島のアタッカーとCBがいきなり対峙する、という場面が見られました。この試合では三浦をはじめCB陣の対人性能と東口のセーブによって何とかしのいでいましたが、構造としてはやや不安定なものを感じました。

互いに長所と不安要素が出ている前半で、チャンスの数も互角。そんな中でガンバは41分にセットプレーから先制し、リードして前半を折り返します。

川辺の突撃とポジショニングの変化

さて、広島は後半から浅野に替えてハイネル、柴崎に替えて青山を投入。ハイネルを右サイドに入れ、茶島が左サイドに回ります。これによって広島のポジショニングが変わっていました。

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広島は青山が降りて4バック化し、ハイネルが低い位置まで降りてきます。低い位置のハイネルにボールを預けることでWBの藤春とCBのキムヨングォンを釣り出し、その裏に川辺を走らせての突破を狙います。この形を狙うためにハイネルを入れたのだとしたら納得はいきます。これ自体は普段からやっている形だし、実際うまくいけばチャンスにも繋がっていました。

しかしこの形はハイネルに要求されるプレーの難易度も高いですし、川辺の消耗も激しいはずなのであんまりこれに依存してほしくはないんですよね。しかしこれ以外のルートでビルドアップしようにも川辺と青山両方が中央から離れてしまうので前進できないという状態でした。そもそもこれだったら青山が最終ラインに落ちる必要があまりないとも思います。川辺の裏抜けと青山を経由した展開の両方を使い分けられるようになってくれればより攻撃にも迫力が増すと思います。

この試合の後半については広島がチャンスを多く作っていましたが、ボール保持で敵陣に押し込めていたかどうかは微妙なところで、半分くらいはガンバのネガトラにおける脆さを突いたカウンターからのチャンスだったように感じます。リードされた展開でカウンターからチャンスが作れていたわけなのでせめて同点にはしたかったところですが、複数あったチャンスも決められず0-1のまま終了。このあたりは連戦の疲労を感じるところでしたね。

試合を終えて

広島としては前節よりは内容の良い試合ができたと思いますが、それでもまだまだ改善点は多く、結果もついて来ないという試合になってしまいました。前半に見せた茶島のドリブルからの崩しや、後半の川辺の裏抜けには可能性を感じたのでそれらを活かす方向に向かってくれればなと思います。名古屋戦は中止が決まってしまいましたが、次の試合を気長に待ちたいところです。

一方のガンバはセットプレーの1点を守り切りしぶとく勝利。勝ってるのにカウンターを食らうなど危うさを感じる部分もありますが、三浦や東口といった守備陣の奮闘もありしのぎ切りました。前線の宇佐美、倉田、遠藤らもそうですがこうした個の強さを存分に発揮して勝ち切ってしまえるのが強みのチームといえるのかもしれませんね。

それではまた次回。