#01 【2020J1第1節 サンフレッチェ広島×鹿島アントラーズ】

はじめに

ご無沙汰しております。今シーズンもサンフレッチェ広島のリーグ戦についてレビューを書いていこうと思いますので、良ければお付き合いのほどよろしくお願いいたします。今シーズンの目標はリーグ戦全試合やることですかね。何かいきなり日程がずれてますが……

さて今シーズン初戦は鹿島戦。ショートカウンターを今季のキーワードに掲げ、変革を目指す鹿島と戦ったわけですが、早速振り返りたいと思います。スタメンは以下。

f:id:syukan13:20200227002346p:plain

広島は昨シーズン同様の3-4-2-1で、先週のルヴァンカップからの変更はなし。一方の鹿島はこちらも昨シーズン同様というか伝統とも言えそうな4-4-2でのスタートとなりました。

 

前がかり過ぎたDH

さて、試合は序盤から激しいプレスの応酬となりましたが、前半2分に鹿島がいきなり決定機を迎えました。DFラインの裏に抜けたアラーノのシュートがポスト、こぼれに詰めた和泉のシュートもポスト。得点にこそなりませんでしたが、このシーンをはじめ序盤の広島は中盤を簡単に通過されるシーンがいくつか見受けられました。

その主な要因が川辺と青山の2DHのポジショニングだと感じました。例えば先ほどのピンチ直前のシーンでは柏にボールが入ったタイミングで青山と森島が同じようにSBの裏のスペースにランニングを開始。カットされたボールが中央で数的不利となったゾーンに繋がり、簡単に通過されてしまいました。

f:id:syukan13:20200227014238p:plain

また、このプレーの前にもロングボールの競り合いからDHが2人とも置き去りにされる場面があったりと、DHが前寄りのポジションを取ることで置き去りにされ、中盤が空洞化してしまうことが何度かありました。森島と青山が同じようなスペースを狙っていたことも含めて、誰がどこに立っておくのか明確な決まりごとはあんまり無いように感じました。

鹿島のプレッシャー

一方で、鹿島は広島のビルドアップルートをきちんと洗い出して対策をしてきたように思います。

f:id:syukan13:20200227020251p:plain

広島のビルドアップはCBから直接、もしくはDHを経由してWBに渡すという形をとっています。そこでCBにはSHが、WBにはSBが列を上がる形でプレッシャーをかけます。まあ単純ですが効果的な形で、DHどうしがマッチアップしていることもありこのプレスで広島のWBからボールを回収できていました。

f:id:syukan13:20200227020743p:plain

これを回避するためにシャドーがSBの裏に走るというシーンもありましたが、まあ数は多くなかったです。全体として広島は鹿島のプレスに対する準備ができていないのでは?と感じるシーンが多く見られました。こういうプレスのかけ方は昨シーズンもやってくるチームいたと思うので、なんとか対策してほしいなと思います。シャドーが裏に走る意識を持つだけでかなり変わるはずなので。

 

鹿島のビルドアップ

さて、鹿島のビルドアップについては、ミスも見受けられましたが狙いも何となく分かりました。

SB、もしくはサイドの底に降りたDHがボールを持った所からスタート。そこで広島のWBが出てきた場合にはその裏に走りこんだSHにボールを通します。

f:id:syukan13:20200227021213p:plain

また、広島のWBが出てこずにシャドーが寄せてきた場合にもSHが開き、広島のCBがついて来なければサイドに出すしついてくればCFにくさびを打ち込む、という前進方法を取ります。

f:id:syukan13:20200227021844p:plain

ここからDHに落としてシュートでもいいし、逆サイドに展開もできます。

この辺はうまく回避されてんなーという感じで、広島はどういう風にビルドアップを抑え込むのかが明確ではなかったように思います。例えばDHがもっとスライドしてきて中央のパスコースを遮断するなど策はあると思いますが、プレッシャーをかけるために陣形が間延びしていたのでそれも難しかったでしょう。おそらく先制点がなければそのうちプレスをあきらめて撤退するという選択になっていたと思います。

という感じで、前半20分までどちらかといえば鹿島が優勢、広島はやりたいことや良さが出せない展開となります。

脈絡のないゴール、広島の撤退

しかしご存知の通り、鹿島の自陣深い位置でのミスをレアンドロが奪ってドウグラスが流し込み20分に広島先制。さらに25分には大迫の正確なロングパスからの疑似カウンターでレアンドロが2点目を奪います。サッカーの理不尽さが詰まったような5分間で、鹿島は2点のビハインドを背負うことになります。

こうなると堅いのが広島。5-4-1で撤退してスペースを消しにかかります。鹿島はボールを持ったは良いもののスペースがないため序盤のようなコンビネーションも通用しなくなり、攻め手を失っていきます。

f:id:syukan13:20200227022923p:plain

それでもSHがDFラインの間から抜け出すシーンなんかもありましたが、攻め手としてはかなり乏しくなり、決定機を全くと言っていいほど作りだせませんでした。鹿島の反省点があるとすればここでしょうか。ただ5-4-1でぎっちり引いた相手を崩して得点するというのはそう簡単なことでもないのですが……

鹿島はこの後和泉をSBに置いてみたり交代で入った荒木が活きの良いプレーを見せたりしたものの目立った見せ場は作れず、逆に84分に再び自陣でのボールロストから森島に3点目を奪われてゲームエンド。開幕戦は広島の勝利で幕を閉じました。

試合を終えて

鹿島としては序盤良い試合をしてたのにもったいない、という感じでしょうか。何か評判を聞いてると今年はずっとこんな感じみたいですね。ボールの動かし方やプレスのかけ方からを見る限りは別に出来が悪いわけではないように見えたのですが……鹿島の強さは言語化できないようなところにあるのかもなあと対戦するたびに感じますね。

一方の広島は序盤かなり厳しかったもののうまいこと2点取れてその後も塩漬けに成功。ルヴァンカップと合わせて連勝スタートとなりました。ただ内容面ではビルドアップが満足に行えず、キャンプで取り組んだショートカウンターも結果にはつながりましたがまだまだ改善点が多いように思えました。また、この試合ではビルドアップできなかったことと早めに撤退したことであまり見られませんでしたが、昨シーズンから取り組んできたポケットを取りに行く攻撃の出来についても気になるところです。

シーズンがしばらく中断するわけですし、勝って兜の緒を締めよということでさらなる質の向上を望みたいと思います。