#16 【J1第22節 サンフレッチェ広島×川崎フロンターレ】

はしがき

毎度お世話になっております。今回は川崎戦です。もう前置き考えるのがめんどくさいのでさっそく見ていきましょう。スタメンは以下。

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広島はペレイラが1トップに復帰。永井もヴィエイラもいないので当然ではあります。他は特に変わったところもなく、現状のベストメンバーをぶつけてきた感じです。一方の川崎は4-3-3。こちらもベストメンバーに見えましたが、谷口大島三笘旗手小林などがスタメンではないようです。まあ川崎の層の厚さについては今更言及することでもないですが。

ハイプレスの意思は

さて、この試合でまず気になったのは広島が川崎のボール保持にどう立ち向かうかです。鳥栖戦と清水戦では1トップの永井龍が相手のビルドアップルートを限定することでボールを回収できていましたが、1トップにペレイラが起用された今節はどうするかが気になるところでした。

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実際見ているとペレイラはアンカーを切りながら寄せるという意識はあり、ペレイラがアンカーを切りながらCBに寄せてシャドーがもう一人のCBに対して出ていくという形になってたかなと思います。
これでサイドに追い込んだり中央でのミスを誘って捕まえられる場面もあったのですが、ペレイラが寄せきれないうちにCBから角度を変えられてアンカーに縦パスをつけられる場面もあり、プレスのクオリティとしてはもう一つという感じに。
とはいえペレイラはストライカーとしての仕事を第一に考えてほしい選手ですし、あまり守備一辺倒にならないようタスク量を調整したのかもなという印象。プレスがハマらなかったところは青山川辺が高いインテンシティを見せてカバーしたり素早く全員が撤退して構えたりとギリギリでしのいでいました。
この試合の青山、川辺のプレーぶりは素晴らしいものがありました。前回の敗戦を受けて相当気合が入っていたのでしょうし、相応にコンディション調整もしてきたんじゃないかと思います。

撤退守備の問題点

川崎戦といえば前回の対戦では広島の守備においてサイドのカバーリングが行われていない!ということを書いたのですが、今回の試合ではそういう場面はあんまりなかったかなという印象です。WGにボールが入ってWBが出ていったらその分CBがスライドしている様子でした。そのエリアに人がいてついていっただけの可能性もありますが。

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一方で中盤の守備についてはこの試合でも怪しいところはありました。脇坂や田中の裏抜けに対して青山がついて行くことで中盤にスペースが空き、そこを使われてのピンチが何度かありました。斎藤にシュート撃たれた場面や田中のミドルを浴びた場面なんかはそうですね。
裏抜けに対してDHがついていくことは間違いではないと思いますが、それで空いた穴がそのままなのが問題かなーと。図は斎藤にシュート撃たれる直前の場面ですが、ここでは青山が吸収されるほか川辺も出ていってるので中盤ど真ん中に穴が空いてしまっていました。
この試合では直接失点の原因とはなりませんでしたが、ここが放置されているのは問題だと認識していないのでしょうか。その辺は気になるところです。

ミシャ式DNA

一方ボール保持についてはこの試合の広島はなかなか良かったのではないでしょうか。

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川崎の3トップによるプレスを外すため青山が早々に最終ラインに降り、これによって川崎は残った川辺を誰が見るのか、さらにシャドーはどうするのかといった問題を突き付けられます。実際には川辺をIHの片方が見る形で対応していたように思いますが、図のように川辺についたIHサイドのシャドーをどうするかに困っており、浅野や森島が3センターの脇でボールを受けられるシーンが多くありました。川崎のWG、特に斎藤はプレスに行って良いのか迷っているようで、広島は相手の対応によってルートを変えつつ前進できていたように思います。
さらにそこからSBとCBの間を取ってクロスまで持ち込めていましたし、そこに川辺が絡んできてサイドを崩し切る場面もありました。ジェジエウのカバーがなければもうちょい楽に攻撃できたのでは……と思いますが、川崎の方はジェジエウの能力ありきで守っている部分もあるのでしょうか。分かりませんが。

気になったこと

失点シーンについては、まあ森島が縦を切っていれば……とか荒木がダミアンを視界に入れていれば……とかあるんですが、あんまり責められません。森島はタスクいっぱい抱えてたわけだし、登里が縦突破してあの精度のクロス入れて中に待ってるのがダミアンってそりゃ厳しいよね、と思ってしまいます。

それから、やっぱり多くの人が気になったのは選手交代でしょう。特に松本と東がサイドにいて柏が中央にいるのはなんでやねん!と思ってしまいました。柏が全然走れていなかったので尚更ですね。
柏が中央に入ってきて点取った例は確かに昨シーズンあったのですが、今シーズンの柏の出来をみているとそれ期待するのは違うかなという気もします。この辺の起用の意図は誰か質問してたりするんでしょうか。知ってる人がいたら教えてください。

何だか文句ばっかりになってしまいました。勝てたとは言いませんが決して悪くはない、1-1の引き分けくらいなら有り得たんじゃない?という内容だっただけに、選手起用や撤退守備など、悪い部分に目が行きやすかったということかもしれません。それと、返す返すも永井の負傷が痛かった……

鳥栖戦のあたりから良い方向に向かっていると思うのでこれを続けること、あとはいろいろな選手にチャンスを与えてみてほしいですね、やっぱり。

それではまた次回。

 

#15 【2020J1第21節 清水エスパルス×サンフレッチェ広島】

はしがき

毎度お世話になっております。今回は清水戦です。相変わらずの過密日程で次節が迫っていますし、さっくり振り返っていきたいと思います。スタメンは以下!

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広島は3-4-2-1。永井が引き続き1トップに入ったほか、土肥と柴崎が先発に抜擢されました。良いパフォーマンスを見せた鳥栖戦の流れを引き継いでいきたいという意思が感じられますかね。
一方の清水は3-5-2。DAZNの予想では3-4-2-1でしたが、カルリーニョスドゥトラが2トップとして振る舞っていたように思います。

継続するつなぎへの意思

さて、この試合も広島はロングボールを蹴りこまず、最終ラインから丁寧にビルドアップしていく姿勢を見せました。
清水の2トップは広島の3バックに対して数的不利ということもあってかコースの限定はほとんどできておらず、広島は3バックとDHでプレスをいなし、割とあっさりとWBまでボールを運べていたように思います。
WBにボールが入った際には清水のWBも出てくるのですが、その際特に左シャドーの森島がWBの裏のスペースを取りに行くことで清水のIHを動かし、中央にスペースを空けて展開できていました。

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また、それ以外にもWB、シャドー、DHがポジションを入れ替えながらサイドを突破したり、永井がDFラインの裏に飛び出したりと様々なバリエーションが見られました。
一方で、右サイドについてはシャドーの土肥がさほどポジションを動かさなかったことや3人の距離が遠かったことで崩しがうまくいってないように感じました。

永井の存在が大きい

清水の方も広島と似たような形でWBにボールを届けるような形でビルドアップを行っていました。ただ、それは清水が狙っていたというよりも広島のプレスによってサイドに追い込まれていたという方が近かったかなと思います。

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広島は前節と同様ワントップの永井が中盤の選手、主にアンカーへのパスコースを切りながら最終ラインにプレスをかけてボールをサイドに出させます。サイドのCBにボールが出ればシャドーが寄せていき、WBとDHも捕まえてボールの出しどころがなくなるという構図です。
清水は3センターなので広島の2DHに対して数的優位を作れますが、サイドに追い込まれてしまえば逆サイドのIHはボールに関与できなくなり、この数的優位を活かしづらくなります。

この試合についても永井の存在によって相手の前進ルートを大きく制限できていたことは間違いないでしょう。というのも、永井が負傷交代した30分頃から明らかに広島がボールを奪えなくなってきたからですね。

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この時間帯からは清水の3バックから中盤の3センターに直接ボールが入ってしまうことが多くなり、中央を経由してからサイドに展開されることが増えました。こうなると後方は的を絞りづらくなり、ボールも奪えなくなってきます。序盤は優勢だった広島が徐々に押し込まれ始めた大きな要因はここかなと感じます。
また、後半から清水の右WBに相手の動きを見て選択を変えられる奥井が入ってきたのも要因の一つだと思います。裏抜けしたトップやIHにボールを出しつつ、自分でも裏に走ってドリブル突破もできる、ボール前進において非常に頼りになる選手であったと思います。

雑感

特に30分以降は「相手のビルドアップを制限できず、ボールはそこそこ運べるけど最終局面での崩しには苦労する」という似たような両チームの戦いになっていった印象です。清水の方が守備ブロックの人数が少ない分やや脆かったかな?という程度。広島は3点とりましたが清水にも複数決定機があり、どちらが勝ってもおかしくなかった試合だったのではないでしょうか。
ただまあ互いに譲らぬ熱戦というよりはお互いに一歩足りない泥試合といった方が適切なような気もしました。清水は連敗を止められず、広島も連勝したものの内容には陰りが見え、次節はおそらく永井がいないという状況です。永井を中心としたプレッシングが川崎にどこまで通じるか見てみたかっただけに残念ですが……。今度はどのように首位に立ち向かうのか気になるところです。

それではまた次回。

#14 【2020J1第20節 サンフレッチェ広島×サガン鳥栖】

はしがき

どうもご無沙汰しております。2試合も空けてしまいました。ちょっと体調を崩して寝込んでまして……すみません。
鳥栖戦で気になったことを簡単に書いておこうと思います。

スタメンは以下の通り。

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広島はいつもの3-4-2-1ですが、ワントップに永井が起用されました。ブラジル人カルテットが1人もいないというのは珍しいですね。鳥栖の方は4-4-2。前節からスタメンを7人入れ替えてきたようです。アウェイの対戦時は引き分けながらも鳥栖が非常に統率の取れたプレーを見せてくれたので今回もそれが見られると期待していましたが、試合は意外な展開を見せました。

つなぐ意思の表明

キックオフ直後に解説の中島さんも言及していましたが、広島はいつものようにキックオフからいきなりロングボールを蹴りこまず、最終ラインからボールをつないでいくことを選択しました。
まあそもそもターゲットマンがいないから蹴ってもあまり意味がないのですが、そういう人選も含めて今日は安易なロングボールに頼らず繋いでいこうという姿勢が見えます。

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広島の3バックに対して鳥栖はSHを前に出して同数プレスを試みますが、この時広島のシャドーが鳥栖SBの前に立つことで広島のWBを捕まえづらくしていました。こうしてフリーになったWBがボールを受け、そこからはSBの裏に走るシャドーにパス出すも良し、カットインしてDH経由して逆サイドに展開するもよしと、割と広島はやりたい放題していました。
鳥栖のプレス強度やスライドの不十分さはあったと思いますが、総じて広島のタスクはよく整備されていたんじゃないかと思います。

あと個人的に良いなーと思ったのは9分のシーン。

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押し込んでシャドーとWBがしっかり捕まえられているこの場面、茶島が裏のスペースに走ることでSHの小屋松を引き連れて上がってきた野上にスペースを与えることに成功しています。
相手がプレッシャーをかけてきたらボールの出口を作り、押し込んだら今度は味方にスペースを作ることができる。昨シーズン~今シーズン序盤まで手詰まり感の強かった右サイドですが、こういうことができるようになったんだなと感慨深いシーンです。この組み合わせ限定と言われればまあそうかもしれませんが……

広島が押し込む展開になってからは鳥栖が自陣に10人戻して守る場面も見られるようになったのでこのまましのがれると面倒だなと思っていましたが、幸運にも飲水タイム前に先制点をあげることができましたね。

スピードだけではない永井の武器

さて、この試合でもっとも気になったのが1トップの永井龍。スピードを活かした裏への飛び出しが武器の選手だと思っていましたが、この試合ではそれとは別の重要な特徴を見せてくれました。
それがプレスの先導役としての仕事です。それならヴィエイラペレイラもやってるじゃん?と思うかもしれませんが、正直永井のプレッシャーの質はレベルが違うと感じました。

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例えば鳥栖のCBがボールを持った時に永井が寄せていくわけですが、この時後ろを振り返りつつDHへのパスコースを消しながら寄せていきます。こうすることでCBとDHの2人を永井一人で相手にできるわけですね。相手の最終ラインにプレッシャーをかけるために前に人数をかけてしまえば後ろで数的同数になってしまいます。
そこで、このような動きによって1人で2人を消すことで数的不利でもかけられるようにするわけです。ヴィエイラペレイラもボールホルダーを追ってはくれますが、このようにコースを切ってくれるわけではないので、DHを介してボールを前進されることが多くありました。
この試合では永井が中央へのパスコースを遮断してくれるため、サイドに追い込んだりロングボールを蹴らせることに成功していました。

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また、鳥栖のGKがボールを持った際にはカーブを描くように走り、CBへのパスコースを切りつつ寄せていきます。こうして片方のサイドへの展開を防ぎ、後方の選手がボールの奪いどころを定めやすくします。
永井のこうしたボールへの寄せによって、広島の選手たちの捕まえる相手が明確になっている場面が何度もありました。永井のこの試合の運動量には目を見張るものがありましたが、ただ走っていただけでなく非常に賢い走り方をしていたと感じます。

雑感

思いのほか広島がゲームを支配しており、気になったところはこんな感じでした。広島の守備の問題点はあんまり表に出ていませんでしたが、ちょくちょく怪しい場面があって改善はされてないかな~という感じ。城福監督が意図してやっているか、意図してはないけど特に改善する気はないかなのでしょう。
とはいえ永井が唯一無二の特徴を発揮できたのは収穫ではないでしょうか。もっとボール保持のクオリティが高い相手、例えば川崎やマリノス相手でも見てみたいですね。

鳥栖の方は日程の関係でターンオーバーを敢行しましたが、正直いいところなしといったゲームになってしまいました。ただ、広島の普段の出来から考えれば、もうちょっとボール保持できるという計算をしていた可能性もあります。
思った以上に丁寧にビルドアップし、強烈なプレッシャーをかけてくる広島に面食らった部分もあったのではないでしょうか。

コンディションに差があったとはいえ広島としては会心の勝利。これを浮上のきっかけにしてもらいたいものです。

それではまた次回。

#13 【J1第17節 柏レイソル×サンフレッチェ広島】

はしがき

毎度お世話になっております。今回は柏レイソル戦です。
サンフレッチェは2連勝して臨んだ前節の川崎戦で大敗、仕切り直しを図ります。一方のレイソルも前節手痛い逆転負けを喫したようで、悪い流れを断ち切りたいもの同士の一戦となりました。
スタメンは以下の通りです。

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サンフレッチェはお馴染みの3-4-2-1。GKが大迫から林に代わったのが大きな変更点でしょうか。そのほか、茶島と浅野がスタメンに復帰しています。
一方のレイソルDAZNの予想では4-3-1-2でしたが、ゲームを見ていると4-4-2に見えました。オルンガがやばい!という評判が渦巻くレイソルですがどのようにゲームを組み立てて来るのでしょうか。

レイソルの5バック

さて、開始時からお互いにチャンスがあった中、サンフレッチェが9分に先制点をあげることになります。
この場面だけでなく試合を通して見られた形ですが、レイソルはボールを持たれると右SHの戸嶋を下げて5バックの形になっていました。

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サンフレッチェの1トップ2シャドー+両WBの5人に対してマッチアップする選手をはっきりさせるための5バックだったと思いますが、それだけに失点シーンで戸嶋と北爪の2人がワンツーで剥がされてしまったのは痛かったですね。柏は今シーズン縦へのドリブル突破や裏抜けは少ないという印象があったので、スカウティングであまり警戒されていなかったのかもしれませんね。

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また、5バックになることと合わせて大谷三原の2DHが川辺青山に対して出てくることで、ライン間に大きなスペースができていることが度々見られ、浅野や森島がこのエリアでボールを受けられることが多いように感じました。
という背景もあり、サンフレッチェは思ったよりボールを前進させて崩しに行けているように感じました。

サンフレッチェのネガトラ問題

一方、レイソルの攻撃に関しては丁寧に繋ぐよりも後ろからシンプルに長いボールを入れてオルンガを走らせるという攻撃をしてきました。42分に一度連係ミスからピンチになったものの、これについては荒木が頑張って対処していたと思います。
サンフレッチェとしては守備ブロックを崩されて最後にオルンガで勝負されるという形が一番嫌だなと僕は考えていたので、シンプルにオルンガに放り込む!という形はサンフレッチェとしては比較的対処しやすい部類だったのではないかなと思いました。

そんな中前半終了間際にカウンターから失点するわけですが、失点シーンでは北爪が完全にフリーになるという状況を作られてしまいました。CBが3人ともサイドに釣られてしまって逆サイドでフリーの北爪に繋がれたという失点で、まあ柏が戻ってきて埋めなきゃダメでしょ!という意見はあると思いますが、個人的にはDHを攻撃参加させていることも原因なのでは?と考えています。

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失点シーンでは川辺が敵陣深くまで飛び出して行ったところで奪われてしまい、大谷にパスが渡ったところで呉屋とオルンガの2つのパスコースに対して青山しかいないという状態になっていました。結局青山は呉屋を消しに行ってオルンガに通されて江坂→北爪と繋がって失点となりました。8分や44分にもDHが出ていってスペースを使われてカウンターという場面はあったのですが、ここでDH2人が本来の位置にいれば、2つのパスコースを両方消すなり大谷にプレッシャーをかけるなりできたのではないか?と感じます。

それによって裏に飛び出す人がいなくなるという問題については森島や浅野がやるような仕組みを作って解決するしかないのかな?と思います。
カウンターを防ぐための方法を考えた結果「攻撃の仕組みを作る」に帰着するのはなんだか変なような気もしますが、それだけ攻撃と守備が密接に結びついていて、サッカーの面白さが表れているなと感じます。

時間が経つにつれてサンフレッチェヴィエイラペレイラレイソルはオルンガというボールが収まる選手への長いボールが増えてオープンな展開になっていき、決定機も増えていきました。結局得点は入りませんでしたが、どちらが勝ってもおかしくないようなゲームだったと思います。

サンフレッチェとしてはオルンガと互角以上にやり合った荒木をはじめ、選手の能力の高さを改めて感じるとともに、前節書いた守備のもろさと合わせて組織的な規律の不足も感じる内容でした。

レイソルは長いボールを積極的に使ってきたのが少し意外でしたね。。もう少し後方から丁寧に繋ぐことにこだわるチームかなと思っていたので、そこを柔軟にやってくるというのは意外ではありつつもネルシーニョさんらしいなという風にも感じました。

それではまた次回。

#12 サンフレッチェ広島の守備は何がまずかったのか?後編【2020J1第16節 川崎フロンターレ×サンフレッチェ広島を受けて】

はしがき

平素より大変お世話になっております。後編です。前編を読んでいない方はそちらを先に読んでもらうと分かりやすいかなと思います。

syukan13noblog.hatenablog.com

さて、前編ではサンフレッチェ広島の守備について2つ問題があると書きました。簡単に振り返ります。

①ボールの奪いどころが定まっていないのか突然選手が飛び出してボールホルダーに食いついてしまうことがあり、その裏のスペースを使われやすい

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②WBがサイドに釣り出されてもCBはカバーに行かず、DHが最終ラインに降りてカバーすることになっている

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※ちなみに前編で書き忘れてしまったのですが、DHがカバーに降りてしまうといわゆるバイタルエリアが空いてしまってマイナスのパスに弱くなるというデメリットもあります。これもけっこう問題。

 

失点は少ないけれど

さて、前編を読んだ方の中にはこう思った方もいるのではないでしょうか。「広島は失点少ないし、別にいいんじゃない?」と。

たしかに広島は今シーズン15試合で19失点と、失点は少ない方から数えて5番目です。試合数のばらつきもあるので正確には比較できませんが、少ない方であることは間違いないでしょう。守備の構造がおかしいのであればもっと失点するはずだと思われるかもしれませんが、僕はこの失点の少なさをDFの個人能力の高さによるものであると考えています。

つまり構造的には崩れていることも多いですが、3CBを中心としたDF陣が頑張って最後の最後で何とか食い止めている、という状態でここまで来ているのではないかということです。そういう意味では3CBを中央に残していることが生きているのかもしれませんが、それによって守備組織が崩れるのであれば本末転倒ではないでしょうか。
現状はあくまで個人能力の足し算で守っているので、それを上回る個の力で殴られたり、構造的な弱点を執拗に狙ってくる相手からゴールを守り切ることは難しくなると考えています。せっかく優秀なDF陣がいるのだから組織の決壊をぎりぎりで食い止めるような戦い方をするのではなく、組織として連動することでより安定した守備を構築してほしいと思っています。

 

じゃあどうすればいいのよ?という話

じゃあどうやって守るのかという話になるわけですが、やはり基本に忠実にいくべきではないでしょうか。一言で言えば味方が出ていったスペースを周囲の絞り/スライドによってカバーすることが効果的であると考えます。

①の問題点については、主にDHが突然プレスをかけてしまい、その後ろのスペースを使われることが問題となります。これを防ぐために、まずDHがどのエリアまで出ていくのかをある程度決め、DHが出ていったら周囲は中央に絞ってカバーし、スペースを消しに行くことが必要になるはずです。

 

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DHが前に出すぎないこと、周囲の選手が絞ってくること。この2つにより、いきなりライン間を使われて失点というケースは減らせるのではないでしょうか。

また、これは最終ラインにも同じことが言えます。

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もし中盤を通過されて図のようなパスが入った場合には、CBが出ていって対応することになります。最終ラインに5人いれば、CBは出ていっても後ろに4人いるので迷いなく出ることができます。これは5バックの大きなメリットの一つであるといえますね。
広島も現在このやり方でCBが出ていくシーンをよく見かけます。それは良いのですが、この時にも周囲のカバーが不十分に思えます。CBが出ていった時後ろは4人なのですから、きちんと絞ってスペースを消し、4バックに近い形に変化してスペースを消せばより安定感が生まれることと思います。

 

そして②の問題点については、やはりWBが出ていったスペースはCBを出してカバーすることで防ぐ方が良いと考えます。

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WBが出ていったスペースをCBがカバーしたとしても、まだCB2人と逆サイドのWBが残っているはずです。彼ら3人がしっかりとスライドして中央まで戻ることで、4バックで守っているのと同じ状況を作り出すことができます。また、このやり方ならDHを最終ラインまで降ろさずに済むので、マイナスのクロスもしっかりケアすることができます。こうすることで、②の問題により空くことになったスペースをしっかり埋めることができます。

味方の選手が出ていったスペースを周りでカバーして塞ぐ、そういったスペースに注目した現代基準の守備こそが今の広島に必要なのではないでしょうか。

まとめ

味方が出ていったスペースを周囲が絞ったりスライドしたりで埋める、というのはいまや確立された守備の常識であると言えます。優秀なDF陣がいながらこうしたセオリーがないまま個人の頑張りで守っているのは非常にもったいないと感じるので、何とか改善してほしいと思っています。
人に対する意識が強いと言われることが多い広島の守備ですが、こうしたスペース管理に対する意識の希薄さによって、相対的に人に対する意識が強く見えるのではないかと書いていて感じました。

Jリーグの戦術的なレベルは上昇の一途をたどっており、今後こうした構造的な弱点はますます多くのチームに狙われることでしょう。そうした強敵たちに、サンフレッチェ広島の優秀な選手たちが連動して立ち向かっていく姿が見たいものです。

それではまた次回。

#12 サンフレッチェ広島の守備は何がまずかったのか?前編【2020J1第16節 川崎フロンターレ×サンフレッチェ広島を受けて】

はしがき

毎度お世話になっております。
さて今節ですが、知っての通りサンフレッチェ川崎フロンターレと対戦し1-5の惨敗を喫しました。川崎は今シーズン多くの試合で3点以上を奪っているチームであり、5点以上取った公式戦がこれで6試合目です。なので「川崎強かった!仕方ない!」で済ませても良いのですが、「広島の守備は何かおかしい」という声が各所から聞こえてくるように、失点時の対応がどうにも変だったことが気になりました。

で、それについて考えていたところ他の広島サポの方から情報提供も頂き、どこがおかしいのかが何となく浮かび上がってきました。

ということで今回は趣向を変えて、広島の守備がどうおかしくてその結果どうなっているのか、をまとめてみることにします。

一体何がまずかったのか

先に結論を書くと、広島の守備についてまずいところは大きく2つあると思っておりまして、それは

①ボールの奪いどころが定まっていない?

カバーリングの設計が狂っている?

この2つです。
この2つが原因で広島の守備には時折不審な点が見られると考えました。以下で順番に説明していきます。

①ボールの奪いどころが定まっていない?

ボールの奪いどころと似た言葉として「守備の基準点」というのもありますね。つまり、「相手選手のうち誰がボールを持った際にプレッシャーをかけ始め、どこに追い込んでボールを奪うのか」についての約束事が不完全なのでは?ということが言いたいわけです。

広島のボールの奪い方の1つとして、5バックで構えた状態から相手のSBにシャドーがプレッシャーをかけ、連動してWBが相手のSHまで出ていき、DHは相手のDHを捕まえるというものがあると思っています。

f:id:syukan13:20200902212925p:plain仙台戦で使った図ですが、こんな感じですね。5バックで構えたところからSBの蜂須賀がボールを持った際にシャドーのヴィエイラが寄せていき、SHの石原はWBの茶島が監視。DHの椎橋を川辺が見て、間に入ってくる関口はCBの野上が出ていって対応します。図ではペレイラがCBのところにいますが、ペレイラがCBへのコースを切りつつ蜂須賀に寄せていけばボールを取れそうですね。城福監督はこのような設計でボールを奪おうとしているのだと考えていました。

ところが、広島の試合を見ているとこのパターン以外にも唐突に中盤の選手が前に出ていってプレスをかけることがあります。広島サポであれば心当たりがあるのではないでしょうか。

www.youtube.com

例えば横浜FM戦の1失点目(動画0:37~)。直前までDFラインに吸収されるほど近い位置にいたハイネルがいきなり猛スピードで扇原にプレスをかけ、その裏のスペースを使われての失点です。

ここまで突発的なプレスはそんなに見られませんが、広島のDHが低い位置にいるボールホルダーにふらふらと寄せていって、その裏や脇にスペースが空いているということは割と良く見られる現象です。サイドに出た時がボールの狙いどころだとは思うのですが、中央にボールがあるときにどうするのかがあまり決まっていなくて、DHが思い思いの判断で行動した結果こういう現象が時折みられるのではないかと考えています。

カバーリングの設計が狂っている?

そして2番目。これこそが、「広島の守備は変」と感じられる原因なのではないかと思います。
まず、川崎戦の2失点目を確認します(動画0:47~)。

www.youtube.com

この失点を図に起こすと、まずサイドで三笘とハイネルが1vs1になります。
(フィールドを白くしてみました)

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三笘との1vs1をハイネルは止められず、内側に侵入されます。まあこれは仕方ないと思うんですが、この時に注目してほしいのは野上と川辺の動きです。

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ハイネルが外された後に最も三笘の近くにいた野上はボールにアタックするのではなく、中央に走りこむ大島を気にしつつ逃げるように中央に戻っていきます。逆に、大島を視界にとらえていた川辺が三笘を全力疾走で追いかけて止めに行きます。
結局止めきれずにクロスを上げられて中でレアンドロダミアンに合わせるのですが、この時の対応がどうもおかしい。普通に考えれば

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こうで良いはずなんですよね。三笘に最も近い野上がカバーに入り、大島の動きを見ていた川辺がそのままついていく。これなら移動距離が短くて済むため、三笘に早めにプレッシャーをかけてミスを誘えたかもしれません。

ではなぜこうしなかったのか?野上が大島をマークしていてそのままだったからかと思っていたところ、こんなサイトを紹介していただきました。

www.jleague.jp

2016年に城福監督が執筆したコラムですね。このコラムにおいて、城福監督はこのように述べています。

「全てのシーンに共通していることは、サイドバックが空けた穴(スペース)をボランチがカバーしている点です。攻撃側のチャンスになり得るシーンでしたが、サイドバックが外へ引き出されても、しっかりとボランチが空いたスペースをカバーすることで、センターバックのポジションは動かされずに、最終ラインは4枚で相手の攻撃に対応することができます」

 

このコラムを見てから先ほどの失点シーンを見ると、違う見方が浮かび上がってきます。つまり、「ハイネルが空けたスペースは本来川辺がカバーすべきもので、野上は本来守らなければいけない中央に慌てて戻っていった。つまり、川辺と野上の2人がとった行動はチームの決まりごとに従った正しい動きである」という見方です。

コラム上で城福監督は、CBが中央から動かされていないことによって安定した守備ができたと語っています。そこで、城福監督が守備ブロックの構築において優先しているのが「CBを中央から動かされないこと」だと考えると、野上と川辺の不可解な動きについても合点がいくのです。CBは中央から動いてはいけないので、野上は慌ててゴール前に戻って行った。そして、WBが空けたスペースはDHの川辺が埋めに行った。と考えれば辻褄は合うように思えます。野上は大島に釣られたのではなく、自分が本来埋めるべき場所に戻って行ったのだと考えられるのです。

これと同じような形の失点として思い出されるのがセレッソ大阪戦の1失点目(動画0:20~)。

www.youtube.com

坂元の切り返しでWBの清水が振り切られ、クロスを上げられてニアで合わせられての失点です。このシーンでも清水が出ていって空けたスペースに対してCBはスライドせず、青山が埋めようとしているように見えます。しかし間に合っておらず、坂元はほぼフリーの状態でクロスを上げています。

さて、この2つの失点に共通することとして、CBがスライドしていないことの他に「DHのカバーが間に合っていないこと」「CBは3人きちんと中央にいるのに失点していること」が挙げられます。たとえCB中央から動かされまいが、クロスを上げる選手がフリーで質の良いボールを上げられたりドリブルで深い位置まで侵入されると失点する可能性は十分にあるということですね。そしてそれを防ぐためのカバーリング要因であるDHは移動距離が長すぎて間に合っていないのです。
つまり、「WBが空けたスペースをDHが最終ラインに降りてカバーし、CBは中央から動かない」という約束事は不完全であり、カバーが間に合わずクロッサーをフリーにしてしまう可能性が大いにあると言えるでしょう。こうした事実を鑑みて、カバーリングの設計が狂っているのではないか?と考えました。

じゃあどうやって守るのが良さそうか、について書こうとしたのですが、すでに3,000文字になっていて書くのも疲れたのでとりあえず今回はここまで。後編に続きます。

#11 【2020J1第15節 サンフレッチェ広島×清水エスパルス】

はしがき

毎度お世話になっております。今回は清水戦です。
前節にようやく久々の勝利を手にしたサンフレッチェに対し、清水は4連敗中と不調の様子。クラモフスキー監督のもとボール保持の方向に舵を切っている最中で難しい状況のようですが、どんな試合になったか振り返っていきたいと思います。

スタメンは以下の通りです。

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広島は井林、エゼキエウが初先発のほか、柴崎、東を先発で起用してきました。ミッドウィーク開催なのでターンオーバーを意図したものかもしれませんね。一方の清水は4-2-3-1。後藤や大久保って今清水いるんだな……という感想を抱きますね。どういう配置でビルドアップしてくるのでしょうか。

可変で守る広島

さて、この試合では広島はこれまでの試合とは違う守り方をしているように見えました。普段の広島は5-4-1で撤退するかシャドーを相手のSBに当ててプレッシャーをかけるという守り方をしていますが、この試合ではまた違ったバリエーションが見られました。

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それがこの形。いつもの5-4-1から片方のシャドーが戻らず前に残っている5-3-2のような形です。特にエゼキエウのほうは顕著で、自分のサイドにボールが来てもSBに詰めていかず後ろに任せるようなシーンも見られました。

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その場合はWBの東が縦にスライドして出ていき、全体をボールサイドにスライドさせて4-4-2に近い形になります。

この守り方のメリットはやはりカウンターに備えて前線に2人残せるという点でしょう。いつもの5-4-1は堅さこそあるものの陣地回復にはペレイラヴィエイラのキープ力に頼る必要がありますからね。
この形であれば前線への長いボール以外にも、良い意味で中途半端な位置を取ったシャドーにボールを渡して前を向いてもらうことが可能になります。広島の先制点なんかはまさにその形でしたね。

一方で脆さを見せることもたびたびあり、全体が過剰にスライドしたことで中央を豪快に破られた12分のシーンなどは危なかったですね。この辺は人に対する意識の強いところが出たかなと思います。

また、後半には前に出てきたシャドーの裏に斜めにパスを差し込まれるようなシーンもあり、うまく分析されて対処されているなという感じでした。

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55分のシーンですが、右サイドからサイドを変えられてスライドする前に前に出てきたエゼキエウの裏にパスを通されています。
縦と横のスライドを同時に行う必要がある以上、こうした斜めのパスによって空いているスペースを使われるというシーンは今後もあるのではないかと思われます。
個人的には5-4-1だろうがやられるときは普通に崩されているので、多少守備が脆くなるデメリットよりもカウンターに出やすくなるメリットの方が勝っていてこの守り方は良いのではないかと感じます。

あとはプレスをかけに行ったのに結局全然奪えないという場面は相変わらず良く見られたので、もっと相手のパスコースを切れるような追い方を身に着けるかハイプレスは諦めるかしないとまずいだろうなとは感じました。まあこれは継続的な課題ですね。

狙うべきところは明らか

一方広島のボール保持については狙いどころが共有されていたと感じていまして、それは先制点のシーンにも表れていました。

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先制点のシーンは右サイドで受けた茶島がカットインして柴崎→エゼキエウと渡ってミドル、という形でした。このシーンでは清水のSHであるドゥトラが戻り切れておらず、そのスペースを使われた形です。
このシーンだけでなく試合を通してドゥトラは戻りが遅く、そのスペースに柴崎や井林から効果的なパスが繰り返し通っていました。ここが空くことを分かって柴崎や井林、エゼキエウを起用したのであれば城福さんやるなあ、と感じますね。

ドゥトラは戻りこそ遅いものの前半に2度の決定機を迎えるなど攻撃のアクセントとして効いており、あの2つどっちか決められていれば収支もあっていたかなと感じます。この辺は難しいところですね。

また、この試合ではWBに茶島と東という、どちらかといえばパスを出して攻撃を組み立てるタイプの2人が起用されていましたが、両サイドともきちんと相手を見て配置を動かせるようなプレーを選択していたと感じます。シャドーやDHに動き回る選手が多いので、WBに組み立て型の選手を置くのは今の広島と合っているかもしれませんね。

雑感

試合そのものは4-1で広島が勝利しました。広島の勝利に納得がいかないような内容では全然ないですが、4-1になるほどか?とも思いました。広島の見せた新しい守備の形は可能性を感じる一方で構造的な弱点もきちんとあり、そこを突かれると脆そうな気もします。
これを次の川崎戦に引き継ぐかは分かりませんが、弱点を覆い隠せるようブラッシュアップして今後の有用なオプションとしてほしいですね。

一方の清水はこれで5連敗。ボールを運ぶのはかなりうまいと思うのですが、引いたときに脆さが出ている感じはしましたね。ボールの奪い方を磨いてボールを持つ時間を長くするか、引くときはしっかり引くようにするか……今後どのように進化していくのでしょうか。

それではまた次回。